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調理師の腰痛対策|台の高さと段取りから厨房の負担を見直す

調理師の腰痛対策|台の高さと段取りから厨房の負担を見直す

「厨房仕事に腰痛はつきものだ。営業が終わったら湿布を貼って、また明日立つしかない」。調理師の腰痛は、こんなふうに我慢の問題として語られがちです。台の高さも床も決まっていて、厨房は変えられない。だから自分が耐えるしかない、という発想です。

しかし、立ち仕事の方の腰を数多く見てきたCUREPROの立場からお伝えしたいのは、調理師の腰には長時間の立ち仕事に加え、体に合わない台や重い鍋・食材の運搬も負担になり得る、ということです。つまり、耐えるのではなく、設計を見直せる領域だということになります。そして厚生労働省の現行の腰痛予防指針も、作業台の高さや運搬のやり方を仕事の側から整えることを事業者に求めています。

本記事では、厨房の場面ごとの負担の正体から、台の高さ・運搬・段取り・足元の対策、そして我慢してはいけない危険サインと整形外科の受診目安まで、整体院の視点で順を追って解説します。火と刃物を扱う職場ですから、安全と衛生を損なわない範囲で、という前提も含めてお読みください。

調理師の腰痛には作業台の高さや運搬も関わる

仕込み作業で前かがみになる調理師

同じ立ち仕事でも、厨房の負担には固有の形があります。ポイントは、高さの決まった台・シンク・コンロに、毎日何時間も体の側を合わせにいっていることです。場面ごとに分解すると、腰に何が起きているかが見えてきます。

厨房の場面 腰に起きていること
仕込みの包丁仕事 低めの台に合わせた浅い前かがみを、何十分も固定し続ける
コンロ前の加熱調理 ほぼ動かない定点の立位で、同じ姿勢の時間が積み上がる
洗い場 低いシンクへの前かがみに、水を含んで重くなった鍋や器具の上げ下ろしが重なる
鍋・食材の運搬 寸胴、米袋、食材ケースなど、重量物の持ち上げと移動が繰り返される
ピークタイム 低い冷蔵庫へのしゃがみ込みや中腰、急な振り向きが連続する

厚生労働省の職場における腰痛予防対策指針は、立ち作業の前かがみ姿勢などは作業台の配置が体型に合っていないことから生じるとして、台の高さの目安を、肘の曲げ角度がおよそ90度になる高さと示しています。ただし作業内容により無理のない高さは異なるため、包丁仕事や力を要する作業を安全に行える高さを職場で確認しましょう。身長の高い方が低い台で長く仕込みをすれば前かがみが深くなるように、体格と台の高さが合わないと、腰への負担が増えることがあります。

作業台の高さ対策は台を変えられない前提で足元と作業側を調整する

作業台の高さに合わせて足台を使う調理師

とはいえ、既製の厨房で台の高さそのものを変えるのは簡単ではありません。そこで発想を変えて、台と体の高さの差を、足元と作業のやり方で埋めます。

  • 台が体に対して低い方は、まな板の下に衛生的な高さ調整の台を挟めないか、責任者に相談する
  • 台が高い方は、安定した足台の使用を検討する。指針でも足台の使用時は滑りと転倒への配慮が求められている
  • 長い定点立位では、片方の足を低い台に乗せて左右を入れ替える。片足置き台は指針が挙げる立ち作業対策のひとつ
  • 皮むきなど座ってできる仕込みは、椅子作業に切り替えられないか職場で話し合う

ここで必ず守っていただきたいのは、足台やマットなどの持ち込みや配置換えは、自分の判断でやらず、必ず職場の責任者と相談してから行うことです。厨房は衛生管理と動線の設計が命の職場で、善意の持ち込みが異物混入や転倒の火種になり得ます。幸い、先ほどの指針の名宛人は働く個人ではなく事業者です。腰の負担を理由にした設備の相談は、わがままではなく、指針が想定している正当な相談だと知っておいてください。なお、足を前後に開いて立つ、骨盤の傾きを整えるといった立ち方そのものの工夫は、立ち仕事の腰痛対策の記事で詳しく扱っていますので、本記事では厨房固有の話に絞ります。

重い鍋と食材の運搬は持ち方より先に量と運び方の設計を変える

大きな寸胴鍋を二人で安全に運ぶ調理師

厨房の腰痛のもうひとつの主役が運搬です。持ち方のコツより先に、そもそも持つ量を減らせないかを考えるのが正しい順番です。厚生労働省の現行指針は、人力のみで取り扱う重量の目安を、18歳以上の男性で体重のおおむね4割以下、女性はさらにその6割程度までとし、それを超える物は荷を小分けにするか、2人以上で扱うよう求めています。実際の荷物の重さを確認し、無理な運搬を避けましょう。

  • 満杯の寸胴は運ばない。お玉や小鍋で中身を移してから動かすか、2人で運ぶ
  • 食材ケースや飲料の箱は、抱えて歩かず台車に載せる
  • 床から持ち上げるときは、荷物に体を近づけ、片足を少し前に出して膝を曲げ、脚の力で立ち上がる
  • よく使う重い食材や調味料は、腰から胸の高さの棚に置けないか、収納の配置を責任者と相談する

そして厨房ならではの大原則をひとつ。熱い鍋や油を扱う場面では、腰の理屈より火傷をしない安全な姿勢が常に優先です。熱いものを膝を曲げて体に引き寄せるわけにはいきません。だからこそ、熱く重いものについては持ち方の工夫ではなく、量を減らす・運ぶ距離を短くする・運ばずに済む段取りにする、という設計側の対策が本命になるのです。

仕込みと洗い場とピークは段取りで同じ姿勢の連続を断ち切る

厨房で腰を反らせて姿勢を整える調理師

厨房仕事の負担は、ひとつひとつの動作より、同じ姿勢がどれだけ連続するかで決まる面があります。指針も、同一姿勢を長時間取らないことと、立ち作業ではおおむね1時間に1〜2回程度の小休止を挙げています。とはいえ営業中の厨房で休憩を増やすのは現実的でないことも多いので、段取りの工夫で姿勢の連続を切ります。

  • 仕込みは、前かがみの包丁仕事と、立って行う加熱や計量を交互に組み、同じ姿勢を続けない
  • 洗い場は、ため込んでからの長時間連続を避け、浸け置きを挟んで前かがみの時間を分割する
  • 寸胴や米袋など重量物を動かす仕事は、体が疲れ切ったピーク後ではなく、余裕のある時間帯に済ませる
  • ピーク前に、低い冷蔵庫の食材を使う順に取り出しやすく配置し、営業中のしゃがみ込みを減らす
  • 手が空いた数十秒に、腰を軽く反らせて前かがみをリセットする癖をつける

段取りは本来、料理を速く出すための技術ですが、同じ技術がそのまま腰を守る技術になります。献立と同じように、姿勢の順番も設計してみてください。

足元の対策は滑りにくい靴で転倒とぎっくり腰を同時に防ぐ

滑りにくい厨房用シューズを履く調理師

厨房の床は、水と油で職場の中でも特に滑りやすい部類です。滑って転べば腰を強打しますし、転ばないよう踏ん張った瞬間に腰へ不意の力が入って痛めることもあります。指針も、足に合った滑りにくい靴を使うこと、床が硬い場合はクッション性のある靴などで衝撃を和らげることを挙げています。

  • 厨房用の滑りにくい靴を使い、サイズの合わない借り物やかかとを潰した履き方をしない
  • 靴底のすり減りは滑り止めの寿命と考え、すり減ったら交換する
  • 底が薄すぎる、または硬すぎる靴は、硬い床からの衝撃を腰まで通しやすいので避ける
  • 床の油や水はこまめに処理し、疲労軽減マットなどの導入は衛生面と転倒リスクを含めて責任者と相談する

靴は、調理師が自分の裁量で今日から変えられる数少ない装備です。包丁を研ぐのと同じ感覚で、足元も整備の対象に入れてください。

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厨房が変えられなくても体の側は変えられる

厨房で股関節を伸ばす調理師

ここまで仕事の側の設計を中心にお伝えしてきましたが、もうひとつの現実として、勤め先によっては台も収納も変えられないことがあります。そのときに残されているのが、体の側を変えるという選択肢です。

厨房仕事は、前かがみ・しゃがみ・踏ん張りの繰り返しです。股関節が硬くなって深くしゃがめない体は、そのぶんを腰を丸めることで補い、胸まわりが固まった体は、浅い前かがみですら腰だけで支えるようになります。つまり同じ厨房に立っていても、腰にどれだけ負担が集まるかは、股関節や背中がどれだけ仕事を分担できるかで変わるのです。私たちCUREPROは、痛む腰そのものをもみほぐすのではなく、骨盤・股関節・背骨のつながりから、腰に集中している仕事を全身に配り直す施術を行っています。営業後の腰の重さが取れにくくなってきた方、湿布でしのぐ日が増えてきた方は、体の側の見直しどきかもしれません。同じ立ち仕事の腰痛でも、介護士の腰痛対策の記事で扱ったように、職業ごとに負担の形は違います。ご自身の仕事の形に合わせた見方で、体を整えていきましょう。

我慢して立ち続けてはいけない腰の状態がある

腰の痛みを医師に相談する調理師

最後に、段取りや靴の話より優先されるものを挙げます。次のような状態は、厨房の工夫で様子を見る段階ではありません。

状態 対応
お尻から脚にかけての痛みやしびれを伴う 整形外科を受診する
滑って転んだ、尻もちをついた後から痛みが続く 早めに受診して骨や関節の状態を確かめる
夜、横になっていても痛む。発熱や体重減少を伴う 腰以外の病気の可能性も含め、速やかに受診する
排尿や排便の感覚がおかしい、脚に力が入らない すぐに医療機関を受診する
休んでも痛みが引かない、または悪化する 我慢を続けず、一度検査で原因を確かめる

整形外科と整体の役割の違いは、整体と整形外科の違いを解説した記事も参考にしてください。

また、営業中に急に腰が抜けるように痛んだ、いわゆるぎっくり腰の瞬間は、まず火と刃物から離れて安全を確保することが最優先です。痛みをこらえて鍋や包丁を持ち続けるのは、腰にもまわりにも危険です。落ち着いてから状態を確かめ、動けないほどの痛みなら受診してください。慢性的な腰痛との付き合い方も含め、検査で大きな問題がないと分かってからが、体の使い方を整える出番です。

調理師の腰痛対策でよくある質問

休憩中に水分補給する調理師

腰痛ベルトやコルセットを着けて調理してもよいですか

厚生労働省の指針は、腰部保護ベルトについて、効果の感じ方に個人差があるため一律には使わず、一人ひとりが効果を確かめてから判断するものとし、必要に応じて医師への相談を挙げています。頼り切って着けっぱなしにするのではなく、重量物を扱う時間帯など場面を絞り、迷う場合は受診時に相談するのが安全です。

朝の仕込みでいちばん腰が痛むのはなぜですか

起きて間もない体は筋肉が温まっておらず、そこへ前かがみの包丁仕事や重い食材の搬入が集中しやすいためです。指針でも作業開始前の腰痛予防体操が挙げられています。仕込み前に腰と股関節を軽く動かす数分をつくり、搬入などの重量仕事は体が温まってからに回せないか、段取りを見直してみてください。

休憩でも座れない職場なのですが、どうすればよいですか

まず、まかないや休憩の時間は短くても腰掛けて、立位を確実に区切ってください。そのうえで、営業中は片足置き台や姿勢の入れ替えで同じ立ち方の連続を防ぎます。休憩時に椅子がないこと自体は、指針が椅子の配置を挙げている以上、職場に相談してよいテーマです。

腰痛がつらいので調理師を辞めるべきでしょうか

仕事の続け方を判断する材料として、次の2点を検討できます。ひとつは受診して、痛みの原因を確かめること。もうひとつは、台の高さや収納、休憩の取り方を職場に相談することです。腰痛対策の指針が事業者に対策を求めている以上、相談は職業人として正当な行動です。受診結果と職場環境の両方を踏まえ、自分の状況に合う続け方を考えてください。

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まとめ|調理師の腰痛対策は厨房の設計と体の設計の両輪で進める

調理師の腰痛は、立ちっぱなしという言葉だけでは説明しきれません。体に合わない台への前かがみ、寸胴や米袋の運搬、ピーク時のしゃがみ込みという厨房固有の負担が積み重なった結果です。だからこそ対策も、台と体の高さ合わせ、運ぶ量と順番の設計、姿勢の連続を断つ段取り、滑らない足元という仕事側の見直しが軸になります。設備に関わることは責任者と相談しながら、脚のしびれや転倒後の痛みなど危険サインがあれば、迷わず整形外科で確かめてください。

私たちCUREPROは、立ち仕事で腰に負担が集まりやすい方の体を、骨盤・股関節・背骨のつながりから整えてきた整体院グループです。厨房を変える相談と並行して、しゃがめる股関節、分担できる背中という体の側の土台づくりもご検討ください。初めての方は整体を受ける流れもご確認ください。通い方や施術内容への疑問はよくあるご質問にまとめています。おいしい一皿を出し続けるために、その体にも仕込みの時間を取ってあげてください。

▼運営者情報
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)・株式会社May-Plus代表
2011年に整体院を開業、2013年に株式会社May-Plusを設立。CUREPROブランドで首都圏(埼玉・東京・千葉)に整体院を展開する代表経営者。日本大学法学部卒業後、中央医療学園専門学校で柔道整復師資格を取得。

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