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ピアノ演奏で肩がこるとき|椅子の高さと座り方を見直す

ピアノ演奏で肩がこるとき|椅子の高さと座り方を見直す

「ピアノの椅子は何センチが正しいのですか」。身長を添えてこの質問をした経験のある方は多いはずです。そして、練習のたびに肩がこるのは、練習量のせい、姿勢の悪さのせい、あるいは上達に必要な我慢だと思ってはいないでしょうか。

楽器を弾く方の体を見てきたCUREPROの立場からお伝えしたいことは2つあります。ひとつは、ピアノの肩こりには、演奏姿勢や練習時間などが関わりうること。もうひとつは、椅子の高さに万人共通の正解の数値はなく、あるのは自分の体に合わせる手順だ、ということです。身長が同じでも座高や腕の長さは違い、楽器や弾く曲でも条件は変わります。数値を探すのをやめて、手順を覚えるほうが早いのです。

本記事では、ピアノの肩こりがデスクワークの肩こりと違う理由から、椅子の高さ・鍵盤との距離・肘と手首・ペダル・練習中の休憩の整え方、そして医療機関に相談すべきサインまで、整体院の視点で解説します。

ピアノ演奏中は腕を支える姿勢が負担になることがある

姿勢を整えてピアノを演奏する女性

日本整形外科学会は、肩こりの主な原因として長時間の同じ姿勢や猫背などの姿勢を挙げています。ここまではデスクワークと同じですが、ピアノには机仕事にはない条件が重なっています。座って腕を支え続ける作業の肩こり対策と共通する面もあります。

ピアノならではの条件 肩に起きること
背もたれのない椅子に座る 背もたれを使わない場合は、自分で姿勢を支える時間が長くなる
腕をどこにも置かず浮かせて弾く 腕を支えるために肩や首まわりの筋肉を使う
ペダルを踏む場面がある 足元の支え方が変わり、座り方を調整する必要がある
楽譜と鍵盤を視線が往復する 頭の位置が上下し、首から肩の筋肉が細かく働き続ける
同じフレーズを繰り返し練習する 同じ筋肉の同じ使い方が、集中の中で何十回も反復される

腕は、それ自体がかなりの重さを持つ部位です。その両腕を、どこにも預けずに支えながら細かい作業を続けるのがピアノです。肩こりの原因は一つではありませんが、演奏姿勢を見直すことは対策の一つです。まずこの前提に立つと、対策は「支え方を設計する」という発想に変わります。その設計の土台が、椅子です。

椅子の高さに共通の正解はなく合わせる手順がある

ピアノ椅子の高さを調整する女性

椅子の高さを数値で決められない理由は単純で、鍵盤の高さはほぼ一定なのに、座高・腕の長さ・胴と脚のバランスは人それぞれだからです。同じ身長でも合う高さは違います。米国Lee Universityのピアノ演奏者向け資料も、前腕がおおむね床と平行になるよう椅子を調整し、足を床につけ、休憩を挟むことを勧めています。そこで、数値の代わりに手順を覚えてください。

  • 椅子の前半分に座る。深く腰掛けず、足の裏が床にきちんと着く位置に座る
  • 両手を鍵盤に置き、肘の高さが鍵盤とおおむね同じか、わずかに上になるあたりに椅子を合わせる。前腕がほぼ床と平行に近づくのが出発点
  • そのまま弾いてみて、手首が反り上がる・落ち込むなら、高さをもう一段階見直す
  • 最後は音と弾きやすさで微調整する。楽に音が出せる高さが、あなたの高さ

ここで挙げた肘や前腕の位置は、あくまで調整を始めるための出発点で、体格・楽器・曲・奏法によって最適な位置は変わります。習っている方は、この手順で見つけた高さを先生にも見てもらい、演奏面からの調整を加えてください。なお、アップライトとグランド、教室と自宅の電子ピアノでは、椅子も床も違います。楽器が変わる日は、弾き始める前にこの手順を1分だけなぞる癖をつけると、いつもの体の感覚で弾き始められます。発表会の会場で椅子だけでも先に合わせておくと、緊張の中でも体は普段どおりに働いてくれます。もうひとつ大切なのは、一度決めた高さを固定資産にしないことです。特に成長期のお子さんは、数か月で体が変わります。高さの確認を、爪切りと同じような定期の習慣にしてあげてください。

鍵盤との距離は肘の余裕で決める

鍵盤との距離を調整する女性

高さと同じくらい大事なのに見落とされやすいのが、椅子と鍵盤の距離です。近すぎると肘が体の真横で詰まり、脇を締めた窮屈な形になります。遠すぎると腕を伸ばして届かせることになり、上体が前に引っ張られて、浮かせた腕の重さがそのまま肩と背中にのしかかります。

目安は、両手を鍵盤に置いたとき、肘が体の少し前にあって、脇の下に小さなすき間が残る距離です。鍵盤の端から端まで腕を動かしても、体をねじらず肘の移動でまかなえる余裕があるかも確かめてください。距離は椅子の前後位置で決まるので、高さを合わせた後に、前後を1〜2回動かして試すだけで見つかります。

肘と手首とペダルの3点は椅子のずれを教えてくれる

手首とペダルの位置を確認しながら演奏する女性

椅子が合っているかどうかは、実は肘・手首・足元に表れます。逆に言えば、この3点の違和感は椅子を見直す合図です。

  • 肩がすくんで肘が持ち上がる、または肘でぶら下がるように弾いている。高さが合っていない合図
  • 手首が反り返って甲側にシワが寄る、または手首が鍵盤より落ちる。高さか距離のどちらかがずれている合図
  • ペダルを踏むとき、脚をつっぱって踏む、かかとが床から浮く。座る位置が遠いか、椅子が高すぎる合図

ペダルは、かかとを床に残したまま、足首の動きで踏めるのが基本の形です。ペダルを多用する曲では、片足が支えから外れる時間が長くなるぶん、座りの安定が問われます。椅子の前半分に座りつつも、坐骨でしっかり体重を受けられているか、ペダルの多い曲の前に確かめておくと、肩の余計な踏ん張りが減ります。

練習中の休憩は上達のための技術と考える

練習の合間に肩を休める女性

椅子が完璧でも、同じ姿勢を長く続ければ肩は固まっていきます。日本整形外科学会が肩こりの原因に挙げる長時間の同一姿勢は、集中して練習するピアノの時間そのものです。休憩を、練習の中断ではなく、練習の一部として設計してください。姿勢を変えながら負担を分ける考え方も参考になります。

  • 練習を曲や課題の区切りで分け、区切りごとに一度立ち上がる
  • 難所の反復は、先に回数を決めてから弾く。できるまで無限にやらない
  • 立ったら、肩を回すだけでなく、肩甲骨を大きく寄せる・離す、胸を開く動きを入れる
  • 練習の最初は、軽く弾ける曲やゆっくりのフレーズから始め、いきなり難所に入らない
  • 没頭しやすい方は、タイマーで区切りを外部化する

痛みや疲れを感じたら無理をせず、休憩を取りましょう。

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椅子を合わせても残る肩こりは体の側からの合図

ピアノ演奏後に肩の状態を確認する女性

ここまでの調整は、演奏中の肩の負担を見直す一助になります。それでも、正直にお伝えしておきます。椅子の高さを合わせれば肩こりが消える、とまでは言えません。理由は、ピアノの前に座る前の体が、すでに固まっていることがあるからです。日常の猫背やスマホ姿勢で肩甲骨まわりが動かなくなった体は、椅子の調整だけで解決しない場合もあります。うつむき姿勢の影響は猫背・ストレートネックのページで詳しく扱っています。

私たちCUREPROの整体は、こっている肩をもみほぐすのではなく、肩甲骨・背骨・骨盤のつながりから、腕を支える仕事を全身に分担させる体へ整えていく施術です。肩こりが練習のたびに戻ってくる方、演奏時間を短くしても変わらない方は、椅子ではなく体の側を見直す段階かもしれません。楽器を長く続けるための体づくりとして、選択肢に加えてみてください。

演奏をやめて医療機関に相談すべきサインがある

肩の不調を医師に相談するピアノ演奏者

肩こりの範囲を超えたサインには、椅子の調整で様子を見ず、医療機関で対応してください。整体と整形外科の役割の違いを把握しておくと、相談先を選ぶ際の助けになります。ピアノは手と腕を酷使する楽器で、放置して弾き続けるほど回復が遠くなります。

サイン 対応
手や指のしびれがある 首の神経の影響も含めて、整形外科で確認する
指に力が入らない、思うように動かない 練習で解決しようとせず、早めに整形外科を受診する
弾いている途中で痛みで続けられなくなる その日の練習を切り上げ、受診を検討する
手首や指の付け根の痛みが続く 腱鞘炎などの可能性を医療機関で確かめる
夜間や安静時にも痛む、数週間よくならない 我慢を続けず、原因を診察で確かめる

とくに、しびれや力の入りにくさは、こりの延長線ではなく別の問題の合図であることがあります。演奏を続けてよい状態かどうかは、自己判断ではなく検査で確かめるのがいちばんの近道です。

ピアノの椅子と肩こりでよくある質問

ピアノ演奏時の姿勢についてメモする女性

子どもの椅子の高さはどう合わせればよいですか

手順は大人と同じで、肘と鍵盤の関係から合わせます。ただし足が床に届かない場合は、足をぶらぶらさせたままにせず、足台で足の裏の支えを作ってください。足の支えがないと、体幹で全身を支えることになり、姿勢が崩れやすくなります。そして成長に合わせて、高さと足台を数か月ごとに見直してください。

電子ピアノでも肩はこりますか

こります。腕を浮かせて支える構図は同じだからです。電子ピアノでも椅子や設置した台の高さを確かめましょう。高さ調整できる椅子を使い、この記事の手順で合わせる価値は、アコースティックと変わりません。

何分おきに休憩すればよいですか

全員に当てはまる分数はありませんが、時間よりも区切りで決めるのが続けやすい方法です。曲がひとつ終わったら、難所を決めた回数弾いたら、一度立つ。長く座り続けてつらさが出る前に、休憩を取りましょう。

弾いたあとに肩が重いときはどうすればよいですか

練習直後に、肩甲骨を大きく動かす体操と、胸を開く伸びを軽く行い、無理のない範囲で体を動かしてください。入浴で温めるのも役立ちます。ただし、重さではなく痛みやしびれが出ているなら、セルフケアで抑え込まず受診してください。

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まとめ|ピアノの肩こり対策は数値探しをやめて手順で椅子を合わせる

ピアノ演奏中の肩こりには、腕を支える姿勢や長時間の練習などが関わることがあります。だから対策の第一歩は、支え方の設計、つまり椅子です。何センチという正解を探すのではなく、前半分に座り、肘と鍵盤の関係で高さを合わせ、肘の余裕で距離を決め、手首とペダルの違和感をずれの合図として使う。そして休憩を練習の一部として設計する。この手順は、身長や楽器が違っても、あなたのお子さんでも、同じように使えます。しびれや力の入りにくさがあれば、演奏より先に整形外科で確かめてください。

私たちCUREPROは、楽器や仕事で腕と肩を使い続ける方の体を、肩甲骨・背骨・骨盤のつながりから整えてきた整体院グループです。椅子を合わせても戻ってくる肩の重さは、体の側の見直しどきかもしれません。通い方や施術の疑問はよくあるご質問にまとめています。初めての方は整体を受ける流れもご確認ください。良い音は、無理なく支えられた腕から生まれます。椅子と体の両方を、あなたの演奏の味方にしてください。

▼運営者情報
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)・株式会社May-Plus代表
2011年に整体院を開業、2013年に株式会社May-Plusを設立。CUREPROブランドで首都圏(埼玉・東京・千葉)に整体院を展開する代表経営者。日本大学法学部卒業後、中央医療学園専門学校で柔道整復師資格を取得。

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