妊娠中の整体はいつから受けられるか|週数より大切な3つの許可
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤と下半身の構造改善を得意とする。
「腰が重くてつらいけれど、妊娠中に整体を受けていいのだろうか。安定期に入ればいいと聞くけれど、本当にそれだけで決めていいのかな」。妊娠がわかった喜びと同時に、体の不調との付き合い方に迷い始める方はとても多いはずです。検索すると「16週から」「8ヶ月まで」と数字が並びますが、院によって言うことが少しずつ違い、かえって不安になった方もいるでしょう。
整体院の現場で妊娠中や産後の方のご相談を受けてきた立場から、先にいちばん大事なことをお伝えします。妊娠中の整体の「いつから」は、カレンダーの週数だけでは決まりません。産科の主治医、受け入れる院、そして当日のあなたの体調という、3つの側面から確認して初めて答えが出るものです。
本記事では、一般的な時期の目安、週数だけで決めないための3つの確認、妊娠初期の考え方、気づかず受けてしまったときの対応、院選びの条件、産科へ連絡すべきサインまで、首都圏で整体院を運営する柔道整復師の視点で順にお伝えします。
この記事でわかること
- 妊娠中に整体を受けられる時期の一般的な目安と院ごとの差
- 週数より大切な3つの確認(産科医の許可・院の受け入れ基準・当日の体調)
- 妊娠初期に受け入れを控える院が多い理由と、気づかず受けたときの対応
- 妊娠中の施術で確かめたい体勢や強さの条件と、保険の誤解
- 整体より先に産科へ連絡すべき体のサイン
妊娠中に整体を受けられる時期は安定期以降が一般的な目安になる

まず、世の中の整体院や整骨院がどう運用しているかの実態からお伝えします。妊娠中の方の受け入れは、体調が安定してくる妊娠16週ごろ、いわゆる安定期以降を目安にしている院が多数派です。そして、お腹が大きくなってくる妊娠8ヶ月ごろを一区切りとする院もあれば、体勢や設備を整えて出産直前まで対応する専門院もあります。
| 時期 | 一般的な受け入れの傾向 | 前提になる条件 |
|---|---|---|
| 妊娠初期(15週ごろまで) | 受け入れを控える院が多い | 受ける場合も産科医への確認が前提 |
| 妊娠中期(16〜27週ごろ) | 受け入れの中心になる時期 | 体調の安定と院への週数申告 |
| 妊娠後期(28週以降) | 院の方針と設備で分かれる | 体勢の配慮と産科医への相談 |
ここで注意してほしいのは、この区切りが医学的に定められた一律の基準ではなく、各院が安全側に立って決めている運用の目安だという点です。だからこそ院によって説明が違い、検索するほど混乱するのです。数字の暗記より、次の章でお伝えする3つの確認を押さえるほうが、あなたの状況に合った答えにたどり着けると見ています。
週数だけで決めない3つの許可がいつからの答えになる

ここが本記事のいちばんの要点です。妊娠中の整体は、産科医の許可、院の受け入れ基準、当日の体調という3つがそろって初めて受けられると考えてください。安定期という言葉は、このうち1つ目の判断材料にすぎません。
1つ目の許可は産科の主治医から得る
同じ週数でも、妊娠の経過は一人ひとり違います。切迫流産や切迫早産と診断されて安静を指示されている方と、経過が順調な方とでは、体にかけてよい負担がまったく別だからです。妊婦健診のときに「腰がつらいので整体を考えているのですが、受けても差し支えないでしょうか」とひとこと聞いてみましょう。あなたの経過を知っている主治医の返事が、どんな一般論よりも優先されます。
2つ目の許可は院の受け入れ基準を確認して得る
院のホームページに「マタニティ対応」と書いてあっても、何週から何週まで受け入れているか、どんな体勢と強さで行うかは院ごとに違います。予約の連絡で、現在の週数を伝えたうえで受け入れの可否を確認してください。週数を聞かずに予約を受ける院より、週数と体調を細かく確認してくる院のほうが、妊娠中の対応に慣れていると判断できるでしょう。
3つ目の許可は当日の自分の体調から得る
予約した日の朝にお腹が張っている、つわりがぶり返してつらい、なんとなく体が重い。そんな日は、予約があっても休む勇気を持ってください。妊娠中の体調は日ごとに変わるもので、延期はわがままではなく安全確認の一部です。予約時に、体調不良による当日変更の扱いを聞いておくと、遠慮なく判断できます。
妊娠初期に受け入れを控える院が多いのは時期の事情がある

「初期はだめ」と言われる理由も知っておきましょう。妊娠15週ごろまでは、もともと流産が起こりやすい時期と重なります。施術が原因になるという意味ではなく、この時期に何かが起これば、施術と無関係でも「あのとき整体に行ったせいでは」という不安があなたにも院にも残ってしまう。つわりで体調の波が大きく、長い時間同じ体勢を取ること自体がつらい時期でもあります。多くの院が初期の受け入れを控えるのは、こうした事情を踏まえた安全側の判断なのです。
では、妊娠に気づかず整体を受けてしまっていたらどうでしょうか。この検索も実はとても多く、それだけ心配している方がいるということです。まず、過度に自分を責めないでください。そのうえで、次の健診で「妊娠に気づく前に整体を受けた」と主治医に伝え、経過を確認してもらいましょう。以後は、妊娠の可能性がある時期に施術を受けるなら、可能性の段階でも院に伝えておくのが安心です。
妊娠中の整体は楽になる面と限界の両方を知って選ぶ

妊娠中は、お腹が前にせり出して重心が変わり、腰や背中を反らせた姿勢で支える時間が長くなります。ホルモンの影響で骨盤まわりの靭帯がゆるみやすくなる時期でもあり、腰の重さ、背中や肩の張り、お尻から脚への張り、脚のむくみといった不調が重なりやすいのです。妊娠・出産で骨盤に何が起こるかは骨盤の役割と構造で詳しく整理しています。姿勢を優しく整え、張った筋肉をゆるめる施術は、こうした負担を和らげる目的で選択肢になり得ます。つわりの時期に前かがみの姿勢が続いて背中が固まる方も多く、猫背ぎみの姿勢との関係は猫背の原因と改善法もあわせてご覧ください。
一方で、限界も正直にお伝えします。整体は妊娠に伴う症状を医学的に管理する場ではありません。頭痛やむくみの背景に妊娠高血圧症候群などの病気が隠れていることもあり、その見極めは産科の仕事です。整体でできるのは、医学的な問題がないと確認されたうえでの、筋肉と姿勢の負担へのケアまで。この線引きを共有してくれる院こそ、妊娠中に任せられる院だと感じています。
主治医へ確認したうえで、週数と体調を添えて施術対応をご相談ください。
受ける前に確かめたい施術の中身は体勢と強さと中断基準にある

受け入れの可否だけでなく、施術の中身も予約前に確認しましょう。妊娠中の対応に慣れた院かどうかは、次の点への答えでほぼ判断できます。
- うつ伏せの施術をしない、または専用クッションで工夫しているか
- お腹が大きい時期に、仰向けの長い時間を避けて横向き中心で行うか
- 骨盤や腰へ強い力をかける施術、勢いをつける施術をしない方針か
- 施術中に張りや違和感が出たら、すぐ中断する基準を持っているか
- 週数、健診の経過、医師からの指示を最初に確認してくるか
とりわけ体勢は大切です。お腹が大きくなると、仰向けで長く寝ているだけで気分が悪くなる方がいます。横向きで受けられるか、クッションの用意があるかは、遠慮なく聞いてよい質問です。答えを渋る院や「大丈夫ですよ」だけで具体的に説明しない院は、妊娠中の来院を見送るのが賢明でしょう。
当日の服装や着替えについては、女性が整体に行く日の服装の選び方も参考にしつつ、妊娠中であることを予約時に伝えて院ごとの案内を優先してください。
整体を探す前に職場の負担を減らす仕組みを使える

ここからは、妊娠中の整体の記事でほとんど語られない視点です。働きながら妊娠期を過ごしている方の腰や背中のつらさは、施術で和らげる前に、そもそもの負担を減らせないかを考える価値があります。
国の制度に、母性健康管理指導事項連絡カード、通称母健連絡カードという仕組みがあります。妊婦健診で主治医から通勤の緩和や休憩、作業の制限などの指導を受けた場合に、その内容を勤務先へ正式に伝えるための書類で、提出を受けた事業主には対応する措置を講じる義務があります。厚生労働省の女性にやさしい職場づくりナビでは、対象になる症状の例として、つわりやめまいと並んで背中や腰の痛みも挙げられています。長時間の立ち仕事や同じ姿勢の作業がつらいなら、健診で主治医に相談してみてください。施術は負担を和らげる手段ですが、負担そのものを減らす手段は職場との間にもある。この順番を知っているだけで、選択肢は倍になります。
整骨院と保険の関係はいちばん誤解が多い

「整骨院なら保険で安く受けられるのでは」という期待も、先に整理しておきましょう。整骨院や接骨院で健康保険が使えるのは、骨折、脱臼、捻挫、打撲といった急性のけがへの施術に限られます。妊娠に伴う腰の重さや肩の張りは、けがではないため保険の対象になりません。妊娠中のケアは、整体でも整骨院でも自費で受けるものと考えておけば、会計で戸惑わずに済みます。
なお、リラクゼーション目的のマッサージ店と、体の構造を評価する整体とでは、妊娠中の受け入れ方針も確認の細かさも異なる傾向があります。両者の違いはマッサージと整体の違いで扱っているので、行き先に迷う方は先に読んでみてください。
こんなサインがあるときは整体より先に産科へ連絡する

最後に、施術どころではない状態を見分けるサインを共有します。次のいずれかがあるときは、整体の予約より先に、かかりつけの産科へ連絡してください。
- 出血がある、またはお腹の張りが休んでもおさまらない
- 強い腹痛や、水っぽいおりものが急に出た感じがある
- いつもと比べて胎動が明らかに少ないと感じる
- 強い頭痛、目のちかちか、急に強くなったむくみがある
- 発熱している、または体調が急に崩れた
施術のあとにお腹の張りや違和感が出た場合も、様子見で我慢せず、院と産科の両方へ連絡しましょう。連絡をためらわせない雰囲気づくりも、受け入れる側の責任だと考えています。
よくある質問

妊娠中に骨盤を整える施術は受けられますか
骨盤へ強い力をかける施術は、妊娠中は行わないのが一般的です。ホルモンの影響で骨盤まわりの靭帯がゆるみやすい時期に、大きく動かす力は向いていません。妊娠中は負担を和らげる優しい施術が中心で、本格的な骨盤のケアは産後に、産科医と相談しながら時期を決めるのが自然な流れです。
つわりや頭痛は整体でよくなりますか
期待しすぎないでください。つわりや頭痛そのものの管理は産科の領域で、整体が置き換えられるものではありません。前かがみ姿勢が続くことで生じる背中や首の張りを和らげる、という間接的な関わり方に留まります。症状が強いときは、まず健診で相談することを優先しましょう。
妊娠後期や臨月でも受けられますか
院によります。横向き施術の体制を整えて出産近くまで対応する院がある一方、後期の受け入れを行わない院も少なくありません。後期は体勢の負担が大きくなるため、受ける場合は主治医への確認と、横向き中心で行う院を選ぶことの両方を条件にしてください。
マッサージ店と整体で妊娠中の扱いは違いますか
違うことが多いです。リラクゼーション目的の店では妊娠中の利用を一律にお断りする場合があり、逆に妊婦向けコースを設ける店もあります。整体は院ごとに週数や体勢の基準を持つ傾向があります。どちらへ行くにせよ、妊娠中であることと週数を伝えたうえで、受け入れ基準を確認する手順は同じです。
この記事の監修者

阿部純治(あべ じゅんじ)。柔道整復師(国家資格)、株式会社May-Plus代表。2011年に整体院を開業し、2013年に法人を設立。CUREPROブランドで東京・埼玉・千葉に10店舗を展開しています。
監修者コメント。「妊娠中の方からのご相談で感じるのは、皆さん、自分の楽さより赤ちゃんへの影響を先に心配される、ということです。だからこそ私たちは、週数だけで受け入れを即答せず、産科の先生の見解と当日の体調を必ず確認する手順を大切にしています。整体は妊娠中のすべてに応えられるものではありませんが、線引きを守って使えば、重くなっていく体を支える助けになります。迷ったら、まず健診でひとこと相談する。その一歩から始めてください」
妊娠中の対応は週数と経過で異なるため、予約前に店舗へご相談ください。
まとめ|妊娠中の整体がいつからかは3つの許可がそろった日が答えになる
妊娠中の整体は、安定期以降を目安に受け入れる院が多いものの、週数はあくまで入口にすぎません。産科医の許可、院の受け入れ基準、当日の体調。3つがそろった日が、あなたにとっての「いつから」です。妊娠初期は控えめに、気づかず受けていたら健診で相談、働く方は母健連絡カードという打ち手も忘れずに。順番さえ守れば、整体は妊娠期の体を支える選択肢のひとつになります。
CUREPROは、骨格と筋肉の構造を確かめてから施術を組み立てる整体で、産後の骨盤の開きへのケアも施術の適応としています。施術の考え方はCUREPROの整体とはでご覧いただけます。妊娠中の施術対応は週数や体調により判断が分かれるため、予約前に週数と経過を添えて、お近くの店舗へご相談ください。そして出産を終えたら、妊娠中に頑張ってくれた骨盤と体を整える番です。産前の不安の段階から、東京・埼玉・千葉のCUREPRO各院が相談相手になります。
この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤と下半身の構造改善を得意とする。