むちうちは整形外科と整骨院を併用できる?順番と保険の手続きや注意点を解説
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤と下半身の構造改善を得意とする。
「整形外科に通っているけれど、待ち時間が長くて仕事帰りに間に合わない」「近所の整骨院にも通いたいけれど、勝手に行ったら保険が出なくなるのでは」。交通事故でむちうちになった方から、この相談は本当によく受けます。検索すると「接骨院はだめ」という記事と「併用できます」という記事が両方出てきて、余計に不安になった方も多いはずです。
先に結論をお伝えします。むちうちで整形外科と整骨院を併用することはできます。ただし、順番と伝え方を間違えると、費用の支払いをめぐるトラブルの入口になります。併用の可否そのものより、医師、保険会社、施術者という三者にどう共有するかが分かれ目なのです。
本記事では、交通事故の施術に数多く対応してきた整骨院グループを運営する柔道整復師の立場から、自賠責保険の基本、併用を認めてもらう手順、やってはいけないこと、保険会社に難色を示されたときの考え方までを順を追ってお伝えします。なお、賠償金額の算定や示談交渉は法律の専門領域のため、本記事では通院のしかたに絞って解説します。
この記事でわかること
- むちうちで整形外科と整骨院を併用できる根拠と、自賠責保険の基本
- 併用を認めてもらうための四つの手順
- 支払いトラブルにつながる、やってはいけない三つの行動
- 保険会社に「整骨院はだめ」と言われたときの考え方と相談先
むちうちで整形外科と整骨院の併用はできる

まず前提から整理しましょう。交通事故の相手方がいる場合、治療にかかる費用は原則として自賠責保険などでまかなわれます。国土交通省の自賠責保険ポータルサイトによると、傷害による損害としては治療関係費のほか、通院交通費、休業損害、慰謝料などが支払対象とされ、傷害分の支払限度額は被害者一名につき百二十万円と定められています。
そして、どこに通院するかを一つに縛る決まりはありません。整形外科で医師の診断と経過観察を受けながら、整骨院で柔道整復師の施術を受けるという併用は、実務として広く行われています。実際、整形外科は週末休診で通いにくい、仕事が終わる時間には受付が閉まっている、という事情から、平日夜や土日に通える整骨院を組み合わせる方は少なくありません。
ここが本記事のいちばんの要点です。併用が問題になるのは「併用したこと」ではなく、医師の診断がないまま、あるいは保険会社に知らせないまま整骨院に通い始めたことがほとんどです。できるかどうかではなく、どう始めるか。次の章から、その具体的な形を見ていきましょう。
事故直後の受診先は交通事故後に首が痛いときは何科かで、遅れて出る症状はむちうちの痛みは何日後まで出るのかでも確認できます。
併用の前提になる整形外科と整骨院の役割の違い

「交通事故で接骨院はだめ」という言葉が生まれる背景には、両者の役割の違いがあります。違いを知らないまま通い方を決めると、後で困るのは自分自身です。表で整理します。
| 整形外科(医師) | 整骨院・接骨院(柔道整復師) | |
|---|---|---|
| 診断 | できる | できない |
| レントゲンなどの画像検査 | できる | できない |
| 薬の処方 | できる | できない |
| 診断書・後遺障害診断書 | 作成できる | 作成できない |
| 手技による施術 | 院による | 国家資格に基づき行う |
見てのとおり、診断と診断書は医師にしかできません。むちうちは正式には頚椎捻挫などと診断されるケガで、骨や神経の状態をまず画像で確認する必要があります。また、症状が長引いた場合に必要になる後遺障害診断書も、作成できるのは医師だけです。つまり、併用の主役はあくまで整形外科で、整骨院はその伴走役という位置づけになります。
裏を返せば、整形外科を飛ばして整骨院だけに通うと、ケガの証明も経過の記録も残らず、後になって「本当に事故のケガなのか」を示せなくなります。「接骨院はだめ」と言われる事例の多くは、この順番の崩れから生まれていると見ています。
併用を認めてもらう手順は四つある

では、実際にどう進めればよいのか。トラブルになりにくい手順を四つに分けて紹介します。
手順一。事故後はまず整形外科を受診する
事故直後は興奮で痛みを感じにくく、数日たってから首や肩の症状が出ることも珍しくありません。痛みが軽くても、できるだけ早く整形外科を受診し、診断書をもらってください。受診が遅れるほど、事故とケガの結びつきを示しにくくなります。あわせて、警察への届け出の種別が物件事故のままになっていないかも確認しておきましょう。
手順二。医師に整骨院を併用したい意向を伝える
通いにくさなどの事情を添えて、整骨院の施術も受けたいと医師に相談します。経過を診る医師が併用を把握していることは、その後の診断書の内容にも関わる大切なポイントです。言い出しにくく感じるかもしれませんが、通院の実情を伝えるのは患者として自然なことです。
手順三。相手方の保険会社に連絡する
整骨院に通い始める前に、相手方の保険会社の担当者へ、通いたい整骨院の名称と理由を連絡します。事前の連絡があるかないかで、費用の支払いがスムーズに進むかどうかは大きく変わります。整骨院側でも、保険会社とのやりとりに慣れた院であれば、必要な確認事項を案内してもらえるでしょう。
手順四。整形外科の定期通院を続ける
併用が始まった後も、月に一回程度は整形外科の診察を受け続けてください。医師の診察記録が途切れると、症状が続いている事実を示す資料がなくなり、治療費の支払いが早く打ち切られる一因にもなります。整骨院に通って楽になってきたときこそ、経過を医師に報告する。この往復が、併用をいちばん安定させます。
整骨院へ通う費用の仕組みは交通事故で整骨院に通う費用で詳しく整理しています。
併用でやってはいけないことは三つある

手順の裏返しになりますが、実際にトラブルへ発展しやすい行動を先に知っておきましょう。
| やってはいけないこと | 何が起きるか |
|---|---|
| 医師や保険会社に無断で整骨院に通い始める | 施術費用の支払いを断られ、自己負担になるおそれ |
| 整形外科を自己判断でやめて整骨院だけにする | 診断の記録が途切れ、後遺障害診断書の作成も難しくなる |
| 同じ日に同じ部位の診療と施術を重ねて受ける | 重複とみなされ、必要性を疑われる原因になる |
とりわけ多いのが、一つ目の無断通院です。良かれと思って熱心に通ったのに、連絡が一本なかったために費用でもめる。これほどもったいない話はありません。反対に、この三つさえ避ければ、併用で大きく失敗することはまずないはずです。
交通事故後の通院先や保険手続きで迷っている方へ
CUREPROでは、医療機関との併用を前提に、施術と保険会社への確認事項を丁寧にご案内します。
保険会社に整骨院はだめと言われたときの考え方

ここで、通院案内の記事ではあまり語られない実務の核心に触れます。手順どおり連絡しても、保険会社の担当者から「整骨院への通院は認められません」と言われることがあります。このとき、どう受け止めればよいのでしょうか。
まず、保険会社が通院先を一律に決める権限を持っているわけではありません。一方で、保険会社には支払いの妥当性を確認する立場があり、医師の関与がない通院や、必要性の説明がつかない通院に慎重になるのも事実です。つまりこの場面は、対決ではなく必要性の説明が足りているかどうかの問題と捉えるのが建設的です。
具体的には、次の順で動いてみてください。
- 医師に症状と通院事情を伝え、整骨院での施術について理解を得る
- 整骨院側から、施術の内容と目的を保険会社へ説明してもらう
- それでも折り合わない場合は、自賠責保険・共済紛争処理機構や日弁連交通事故相談センターなど、国土交通省のサイトでも案内されている中立の相談窓口を利用する
あわせて知っておきたいのが、通院が続いたころに保険会社から治療費支払いの終了を打診されるケースです。終了の時期は保険会社が一方的に決めるものではなく、症状の経過と医師の判断を踏まえて考えるべきものです。打診を受けたら、まず整形外科の医師に現在の症状を伝えて意見を聞き、納得がいかなければ先ほどの相談窓口を利用してください。
感情的なやりとりで通院を止めてしまうのが、いちばん体に良くない結末です。窓口は複数用意されています。一人で抱え込まず、順番に頼っていきましょう。
通院先の役割を比較したい方は整体と整形外科の違いを、首を動かしたときの痛みは首を横に倒すと痛い原因も参考にしてください。
施術より受診を優先すべき危険サインがある

むちうちは軽いケガと思われがちですが、なかには神経や脳の問題が隠れているケースがあります。次の症状があるときは、整骨院の施術ではなく、すぐに医療機関を受診してください。
| 危険サイン | 考えられること |
|---|---|
| 腕や手の強いしびれ、力の入りにくさ | 神経の圧迫や損傷の評価が必要 |
| 歩きにくさ、ふらつきが続く | 脊髄や神経の詳しい検査が必要 |
| 強い頭痛、吐き気、意識がぼんやりする | 頭部の損傷の評価が必要 |
| 排尿や排便の感覚がおかしい | 緊急性の高い神経症状の可能性 |
| 日ごとに痛みが強くなっていく | 再検査で原因の確認が必要 |
首まわりの症状の見分け方は首の痛み・頚椎症のページで、しびれについては手足のしびれのページでも整理しています。迷ったら医師に相談する。この原則は、併用中も変わりません。
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CUREPROでは、医療機関との併用を前提に、施術と保険会社への確認事項を丁寧にご案内します。
むちうちの併用に関するよくある質問

物損事故のままでも通院費用は出ますか
ケガをしているなら、人身事故への切り替えを検討してください。物件事故のままでは事故によるケガの証明が弱くなり、手続き上の不利益が生じることがあります。切り替えは警察への届け出が基本です。判断に迷う場合は、保険会社や相談窓口に確認しましょう。
健康保険を使って通院することはできますか
できます。交通事故のケガでも、加入している健康保険の保険者に「第三者行為による傷病届」を出すことで健康保険を使えます。過失割合が大きい場合などに選択肢になりますが、手続きや損得は状況によるため、保険者や保険会社に確認したうえで選んでください。
通院先によって慰謝料は変わりますか
自賠責保険の支払基準では、慰謝料は治療期間や実際に通院した日数などを勘案して算定される仕組みです。ただし、金額の見込みや示談の進め方は個別性が高い法律の話になるため、具体的な算定は弁護士などの専門家に相談してください。通院のしかたとして大切なのは、金額のためではなく、体の回復のために必要な頻度で通うことです。
整骨院ではなく整体院でも同じように併用できますか
同じとは言えません。整骨院・接骨院の柔道整復師は国家資格で、交通事故のケガへの施術は自賠責保険の枠組みで扱われてきた実績があります。一方、整体は法的な資格制度のない民間のサービスで、その費用は事故の損害として認められにくい傾向があります。事故のケガについては整形外科と整骨院の組み合わせを基本にし、整体を利用したい場合は費用の扱いを事前に保険会社へ確認してください。
いつまで併用を続けられますか
ゴールは医師が判断します。症状が良くなって終了する場合と、これ以上の大きな変化が見込みにくい状態と医師が判断する場合があり、後者では後遺障害の申請という次の段階に移ります。だからこそ、最後まで整形外科の診察を受け続けることが大切なのです。
まとめ|むちうちの併用は順番と共有で決まる
むちうちで整形外科と整骨院を併用することはできます。鍵は、併用するかどうかではなく、その始め方にあります。まず整形外科で診断を受け、医師に併用の意向を伝え、保険会社に連絡してから整骨院に通い始め、その後も月一回程度の診察を続ける。無断通院、整形外科の自己判断での中断、同じ日の重複だけは避ける。この形を守れば、併用はむちうちの回復を支える心強い組み合わせになります。
CUREPROは、首都圏で整骨院・整体院を展開する私たちが、交通事故によるむちうちの施術に数多く対応してきたグループです。自賠責保険の書類や保険会社とのやりとりに慣れた交通事故対応のスタッフが手続きを支え、通院される方には施術に専念していただける体制を整えています。「整形外科に通いながら、平日の夜や週末に体を診てもらえる場所がほしい」という方は、交通事故治療のご案内をご覧のうえ、お近くの店舗にご相談ください。
この記事の監修者

阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)・株式会社May-Plus代表
2011年に整体院を開業、2013年に株式会社May-Plusを設立。CUREPROブランドで首都圏(東京・埼玉・千葉)に10店舗を展開。保険診療に依存しない構造改善型整体モデルを推進している。
監修者コメント
交通事故のあとの通院で損をする方の共通点は、体ではなく連絡の順番でつまずいていることです。医師、保険会社、施術者。この三者に同じ情報が共有されていれば、併用はこわいものではありません。分からないことは、通院先の窓口で遠慮なく聞いてください。それに答えるのも私たちの仕事です。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や医療行為、法律相談を代替するものではありません。保険の適用や賠償に関する個別の判断は、保険会社、各相談窓口、弁護士などの専門家にご確認ください。強いしびれや頭痛、意識の異常などがある場合は、直ちに医療機関を受診してください。
この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤と下半身の構造改善を得意とする。