親指側の手首が痛い原因|ドケルバン病のセルフチェックと対処
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤矯正と下半身の構造改善を得意とする。
スマートフォンを操作する、赤ちゃんを抱き上げる、フライパンを持つ。親指に力を入れた瞬間、手首の親指側にズキッと痛みが走る。親指側の手首が痛いという悩みは、手をよく使う女性を中心に非常に多く、その大部分を占めるのがドケルバン病と呼ばれる腱鞘炎です。
一方で、親指側の痛みにはドケルバン病以外の原因が隠れていることもあり、対処の仕方も少しずつ異なります。この記事では、自宅でできるセルフチェックと重症度の目安、似た症状との見分け方、日常生活での工夫、整形外科を受診する目安までまとめました。
腫れてないのに痛い、湿布を貼ってもなかなか良くならないという方は、まず自分の状態を整理するところから始めてみてください。
親指側の手首が痛いときに最も多い原因はドケルバン病
ドケルバン病とは親指を動かす腱の腱鞘炎
親指を広げたり起こしたりする二本の腱は、手首の親指側にあるトンネル状の腱鞘をくぐって親指へつながっています。親指の使いすぎで腱と腱鞘がこすれ合い、炎症を起こしてトンネルが狭くなった状態がドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)です。
親指を動かすたび、あるいは物を握って手首をひねるたびに、腱が狭いトンネルを無理に通過することになり、手首の親指側に鋭い痛みが出ます。
親指の付け根から手首にかけての痛みのほか、腱鞘の部分がふくらんで腫れる、押すと痛い、進行すると熱感や握力の低下を感じる場合もあります。見た目にはっきりした腫れがなくても、動かしたときだけ強く痛むのがこの病気の特徴的な出方です。
妊娠出産期と更年期の女性に集中して起こりやすい
日本整形外科学会の解説では、ドケルバン病は妊娠出産期や更年期の女性に多く、手をよく使う仕事やスポーツをする人にも生じやすいとされています。発症が女性に偏る背景には、女性ホルモンの変動が腱や腱鞘のむくみ・滑りに影響することが関わっていると考えられており、産後の抱っこや授乳で親指を酷使する時期と重なると、症状が一気に強まりがちです。
近年はスマートフォンの片手操作で親指を大きく動かし続けることが引き金になるケースも目立ちます。年齢や性別を問わず、パソコン作業、手芸、調理、ラケットスポーツなど、親指と手首をセットで使う習慣のある方は誰でも起こりうる症状といえるでしょう。
自分でできるセルフチェックと重症度の目安
フィンケルシュタインテストで確かめる
ドケルバン病かどうかの目安として広く使われているのが、フィンケルシュタインテストと呼ばれる方法です。自宅では次の手順で変法を試せます。
まず親指を手のひら側に入れて、他の四本の指で包むように握りこぶしを作ります。その形のまま、手首をゆっくり小指側へ曲げてみてください。
手首の親指側に強い痛みが走るなら、ドケルバン病の可能性が高まります。
手首を直角に曲げた状態で親指を伸ばしたときに痛みが強くなるかを見る方法(岩原・野末のサイン)も、判定の参考になります。いずれも痛みを誘発するテストのため、勢いをつけず、痛みが出た時点でやめることが大切です。あくまで目安であり、確定には診察が必要という点も覚えておいてください。
痛みの出方から見る重症度の目安
受診や対処の優先度を考えるうえでは、どんなときに痛むかを段階で捉えると整理しやすくなります。
| 段階 | 痛みの出方の目安 | 対応の考え方 |
|---|---|---|
| 軽度 | 親指や手首を使ったときだけ痛む | 使い方の見直しと安静で経過を見る |
| 中等度 | 腫れや熱感があり、何もしていないのに違和感が残る | 整形外科への相談を検討する |
| 重度 | 夜間や起きた直後も痛む、握力が落ちて物を落とす | 早めに受診し診断を受ける |
動かしたときだけの痛みであれば、負担を減らすことで落ち着いていくことが期待できます。安静時や夜の痛み、握力低下まで進んでいる場合は、自己流のケアで粘らないほうが結果的に早く楽になれるはずです。
ドケルバン病以外に考えられる親指側の痛みの原因
親指の付け根の関節が痛むなら母指CM関節症
同じ親指側でも、手首というより親指の付け根の関節そのものが痛む場合は、母指CM関節症という別の原因が考えられます。瓶のふたを開ける、つまむ動作で付け根が痛む、付け根の骨が出っ張ってきた、といった特徴があれば関節の軟骨のすり減りが背景にある可能性が高く、更年期以降の女性に多い症状です。
腱の通り道の炎症であるドケルバン病とは対処の方向性が変わるため、痛みの中心が手首寄りか付け根の関節か、意識して確かめてみてください。
骨の出っ張りの周りが腫れている・しこりがある
手首の親指側の骨の出っ張り付近がぷくっと腫れて痛む場合、腱鞘の炎症によるふくらみのほか、ゼリー状の腫瘤であるガングリオンのこともあります。しこりの大きさが変動する、押すと痛むといった場合はガングリオンの可能性があり、良性ではあるものの、気になるときは整形外科で確認してもらうと安心でしょう。
転倒して手をついた後から痛い場合
転んで手をついた後から親指側の手首が痛む場合は、腱鞘炎ではなく骨折の確認が先決です。前腕の骨の手首側が折れる橈骨遠位端骨折のほか、親指の付け根近くにある舟状骨の骨折は、腫れが軽く初期のレントゲンに写りにくいことがあるため、捻挫と思い込んだまま放置されやすい骨折として知られています。
けがの後の痛みが数日続くなら、腫れてなくても早めに整形外科で検査を受けてください。
なぜ親指側の手首に負担が集中しやすいのか
そもそも、なぜ痛みは親指側に集中するのでしょうか。親指は他の四本の指と向かい合わせに動ける唯一の指で、つかむ・つまむ・握るというほとんどの手の作業に参加しています。手の仕事量の大部分を親指が引き受けている以上、その腱の通り道である手首の親指側は、構造的に最も酷使される交差点になっているわけです。
現代の生活は、その交差点への負担をさらに増やしています。スマートフォンの片手操作は、手首を固定したまま親指だけを大きく広げて滑らせる動きの連続で、腱がトンネルの中を高頻度で往復します。
抱っこは手首を反らせて親指を広げた形で数キロの体重を支え続ける動作であり、産後にドケルバン病が集中する理由がよく分かります。
見落とされがちですが、親指を動かす筋肉は前腕から始まっています。前腕が張って硬くなるほど腱は滑りにくくなり、猫背や巻き肩で腕が内側にねじれた姿勢では、手先だけで作業するクセがついて親指側への負担がいっそう増えます。
手首の親指側の痛みは、その一点の問題ではなく、腕全体の使い方の結果として現れることが多いのです。
自分でできるケアと日常生活の工夫
基本は、親指と手首を同時に使う動作を減らして腱を休ませることです。スマートフォンは両手で持って反対の指で操作する、抱っこは手のひらと前腕全体でお尻を支えて親指を広げすぎない、フライパンや荷物は両手で扱うといった工夫で、腱がトンネルとこすれる回数を減らせます。
テーピングやサポーターで親指の動きを軽く制限するのも、休ませる助けになるでしょう。
熱感を伴うズキズキした痛みがある時期は、冷やして安静が優先です。マッサージで揉みほぐしたくなりますが、炎症を起こしている腱鞘を強く揉むと悪化しやすいため、痛む場所を直接ぐりぐり押すのは避けてください。
痛みが落ち着いてきたら、肘から手首までの前腕を軽くさするようにほぐし、お風呂で温めて血行を促すと、腱の滑りの土台が整いやすくなります。
痛みを我慢しながら使い続けると、炎症が慢性化して長引く悪循環に入りがちです。生活の中で手を完全に休ませるのは難しいからこそ、使い方を変えることが最大のセルフケアになります。
整形外科を受診する目安
次のような場合は、セルフケアで様子を見続けず、整形外科を受診してください。
- 親指側の手首に強い腫れや熱感があり、日ごとに悪化している
- 転倒や強打の後から痛みが続いている
- 夜間や安静時にも痛む、起きた直後から強く痛む
- 握力が落ちて物を落とす、親指に力が入らない
- しびれを伴う、または数週間ケアを続けても改善の兆しがない
- 痛みとともに発熱がある
ドケルバン病であれば、固定や注射などの保存的な対応で改善が期待できるケースが多い一方、繰り返す場合には手術が検討されることもあります。骨折やガングリオン、母指CM関節症との見分けには診察と画像検査が確実なため、長引く痛みを自己判断で抱え込まないことが大切です。
繰り返す親指側の手首の痛みはCUREPROにご相談ください
安静にすると落ち着くのに、家事や育児、仕事に戻ると痛みがぶり返す。そのような繰り返す痛みは、親指側の腱という一点だけでなく、前腕の張りや肘・肩、姿勢を含めた腕全体の使い方が負担を生み続けているサインかもしれません。
CUREPROは、東京・埼玉・千葉で展開する構造改善を専門とした整体院です。国家資格を持つ柔道整復師が在籍し、痛む部位だけでなく、そこに負担を集めている全身のつながりを確認しながら、親指と手首に負担のかかりにくい体づくりをサポートします。
骨折などの外傷が疑われる場合はまず医療機関の受診をおすすめしたうえで、慢性的な痛みや使い方に由来する不調について、生活の状況を伺いながら一人ひとりに合わせた施術をご提案しています。
スマートフォンを持つたび、わが子を抱き上げるたびに痛みをこらえる毎日を、当たり前にしないでください。親指側の手首が痛い状態が続いているなら、お近くのCUREPRO各院までお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤矯正と下半身の構造改善を得意とする。