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コラム

坐骨神経痛で車の運転がつらいとき
シート調整と休憩と中止の判断

坐骨神経痛で車の運転がつらいとき|シート調整と休憩と中止の判断

▼この記事の監修者

CUREPRO代表 阿部純治 柔道整復師

阿部純治(あべ じゅんじ)

柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表

中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤と下半身の構造改善を得意とする。

「高速に乗って30分もすると、右のお尻から太ももの裏がしびれてくる」。車の運転をされる方から、この相談をよく受けます。運転中はどうすることもできず、我慢したまま目的地まで走るしかない。仕事で毎日ハンドルを握る方なら、なおさら深刻でしょう。

運転の多い方の体を見てきた立場から申し上げると、坐骨神経痛と車の運転の関係で肝心なのは、走りながら何とかすることではありません。整えるのは走り出す前のシート、対処するのは停めて降りたあとです。順番を逆にしている方が、とても多いところです。

CUREPRO監修者 阿部純治 柔道整復師

阿部純治

「坐骨神経痛で車の運転がつらいとき」を考えるときは、一つの部位だけでなく、姿勢や日常動作のつながりまで確認することが大切です。

本記事では、運転で症状が出る仕組みから、発進前のシートの合わせ方、休憩の取り方、乗り降りの動作、そして運転を中止すべき判断まで、施術者の視点で順を追ってお伝えします。

この記事でわかること

  • 坐骨神経痛が車の運転で強まりやすい理由と、右側に出やすい事情
  • 走り出す前に合わせるシートの5つの点
  • 休憩の間隔と、休憩中に何をするかの具体策
  • 運転を中止する目安と、医療機関へ相談する基準

はじめに、安全に関わる部分を先にお伝えします。次のいずれかに当てはまるときは、運転を続けないでください。

  • ペダルを踏む足に力が入りにくい。踏み替えが遅れると感じる
  • 足首やつま先が思うように動かない。感覚が鈍い
  • 痛みで運転に集中できない。姿勢を変えたい気持ちが操作より先に来る
  • 尿や便が出にくい、または漏れる。股の間の感覚が鈍い
  • 両脚に症状が出ている。しびれの範囲が広がってきた

特に4つ目は、緊急の対応が必要な状態として知られています。安全な場所に停めたうえで、医療機関へご連絡ください。

坐骨神経痛と車の運転で最初に整えるのは走り出す前のシートである

運転前にシート位置と姿勢を整える人

結論から申し上げます。運転中の対処を探すより、発進前のシート調整と、停車後に車を降りて動くことのほうが効果は大きいと考えています。

この考え方は、国の指針とも一致するのです。

厚生労働省の職場における腰痛予防対策指針は、車両運転の作業について、運転座席は座面と背もたれの角度が調整でき、腰背部を安定して支えられるものが望ましいとし、作業開始前に座面角度、背もたれ角度、座席の位置を適正に調整することを求めています。

そして休憩については、次のように書かれています。小休止や休息の際は車両から降りてストレッチングなどを行い、筋疲労からの回復を十分に図ること。車内で座ったまま休むことは、指針が想定している休憩に含まれていないのです。

車の運転での座り方は、事務所の椅子に座るときとは条件が違います。座面が後ろへ傾いていることが多く、振動が加わり、しかも姿勢を大きく変えられません。走り出す前に決めた設定が、そのまま数時間続くわけです。

タイミング やること
走り出す前 座席の前後位置、背もたれ角度、座面、腰の支え、ハンドル位置を合わせる
運転中 操作に集中する。姿勢を大きく変える動作は行わない
停車後 車から降りる。立って腰を伸ばし、お尻を伸ばし、数十歩歩く

運転で右のお尻だけ痛くなるのは操作の左右差が積み重なるから

運転席で左右の骨盤位置を確認する人

ここで、比較記事ではあまり語られない事情をお伝えします。運転による症状は、右側に出る方が多いという特徴があります。

理由は単純です。右足はアクセルとブレーキを操作し続けるため、かかとを支点に足先を外へ開いた位置で保持することになります。股関節がわずかに外へ回った状態が、走っている間ずっと続くわけです。一方の左足はフットレストに預けられます。

左右の脚が違う仕事をしている時間の長さが、そのまま骨盤の左右差として積み上がっていくと見ています。

加えて、運転席には振動があります。先ほどの指針も、車両運転で腰部と全身に長時間の振動を受ける場合に腰痛の発生が懸念されるとして、座席の振動対策を求めているのです。同じ姿勢に振動が重なる環境は、体にとって負担の大きい条件でしょう。

症状が出る場所 運転で考えられる要因
右のお尻 アクセル操作による右股関節の開き。右側への体重の預け
太ももの裏 座面の前縁による圧迫。膝が伸びすぎる座席位置
太ももの前 ペダルを踏み続ける筋の疲労。座面が低く股関節が深く曲がる
腰から脚全体 背もたれの寝かせすぎによる骨盤の後ろへの倒れ

もう一つ、見落としがちな要因があります。後ろポケットに財布やスマートフォンを入れたまま運転していないでしょうか。厚みのあるものを片側のお尻の下に敷き続ければ、骨盤は必ず傾きます。心当たりのある方は、まずここから外してみてください。

お尻の痛みそのものについては、お尻が痛む原因の見分け方でも整理しています。

運転中にできる対処法を探すのは勧められない

車を停めて安全に体を動かす人

ここで視点を反転させましょう。運転中にできる対処法を紹介する記事は数多くありますが、施術者としてはお勧めしません。

CUREPRO監修者 阿部純治 柔道整復師

阿部純治

セルフチェックは状態を知るための目安です。結果だけで原因を断定せず、左右差や症状の出方も合わせて見てください。

骨盤を前後に倒す、お尻を左右に動かす、片手でお尻をほぐす。どれも座ったままできる動きではあります。ただ、運転中に自分の姿勢へ意識を向けている時間は、前方や周囲から注意がそれている時間でもあります。しかも痛みが出ている状況では、その意識の向きは強くなりがちです。

ここが本記事のいちばんの要点です。

痛みへの対処と運転操作は、同時に行うものではありません。姿勢を変えたい、伸ばしたいと感じたら、それは休憩のサインだと受け取ってください。安全な場所を探して停める。この判断のほうが、車内でできる小技を10個知っているより役に立ちます。

走り出す前のシートは5つの点で合わせる

運転席のシートと姿勢を調整する人

ここまでの整理を、実際の調整手順に落とし込みます。エンジンをかける前の1分で終わります。

座席の前後位置はペダルを踏み切って膝に余裕が残る場所にする

ブレーキを奥まで踏み込んだときに、膝が伸び切らず少し曲がって残る位置が目安です。遠すぎると膝を伸ばすために骨盤が前へずり出し、背中が丸まります。近すぎれば股関節が深く曲がり、やはり骨盤が後ろへ倒れます。

背もたれは寝かせすぎず起こしすぎない角度に置く

目安は、垂直よりわずかに後ろへ倒した程度です。角度でいえば100度から110度あたりが扱いやすいでしょう。深く寝かせた姿勢は楽に見えますが、背中を預けるとお尻が前へ滑り、骨盤が後ろへ倒れたまま固定されます。

ハンドルを握ったとき、肘が軽く曲がる範囲に収まっているかも確かめてください。

座面はお尻が沈み込みすぎない状態にする

座面の後ろ側が下がりすぎていると、骨盤は最初から後傾した状態で走り出すことになります。高さを調整できる車種なら、太ももの裏が座面から浮かず、かつ膝が股関節より極端に高くならない位置を探してください。

調整できない車種では、座面の後ろ半分にタオルを折って敷くだけでも角度は変わります。

腰の支えは握りこぶし程度の厚みから試す

背もたれと腰の間には、すき間ができます。ここを埋めると、体を預けても骨盤が倒れにくくなります。専用のサポートでもタオルを丸めたものでも構いません。厚すぎると腰が反りすぎるため、握りこぶし程度から始めて調整するのが無難です。

ハンドルとミラーは背中が背もたれから離れない位置に合わせる

ここは順番が大切です。シートを合わせたあとにミラーを調整してください。先にミラーを合わせてしまうと、後で姿勢を直したときに見え方が変わり、結局は前かがみに戻ってしまいます。運転中に背中が浮いてきたと感じたら、ミラーの見え方が教えてくれるという使い方もできます。

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休憩は時間の長さではなく降りて動いたかどうかで決まる

休憩時に車を降りて歩く人

では、どのくらいの間隔で休めばよいのか。仕事で運転される方には、参考になる基準があります。

厚生労働省のトラック運転者の改善基準告示では、連続運転時間は4時間を超えないものとされ、運転の中断は1回がおおむね10分以上、合計30分以上と定められています。ただし、これは労働時間の基準であって、腰にとっての最適値ではありません。

トラックやバス、タクシーのように運転が仕事そのものである方は、休憩の取り方を自分だけで決められないこともあります。それでも、停車のたびに一度降りる、荷待ちの時間に座り続けないという2点は裁量の範囲に入るはずです。

坐骨神経痛は座っている時間の長さがそのまま積み上がる症状ですから、削れるところから削るほうが現実的でしょう。

症状が出ている方には、1時間から2時間で一度降りることをお勧めしています。指針が求めているのは車から降りてのストレッチングですから、時間を満たすことより、降りたかどうかのほうが大切です。

  • 車から降りて立ち、両手を腰に当てて数回、上体を後ろへ反らす
  • 片足を反対の膝に乗せ、椅子やバンパーに手をついて浅く前かがみになる。お尻の伸びを20秒
  • その場で数十歩、歩幅を広めに歩く

3つで2分ほどです。トイレに寄るだけの休憩と、この2分がある休憩とでは、次の1時間の体の残り方が変わってきます。お尻のストレッチのやり方はお尻のストレッチにまとめてありますので、休憩中に見返してください。

乗り降りの数秒が一日でいちばん腰に負担をかけている

腰をひねらず車から降りる人

ここで、施術の現場に立ってきた立場から本音を申し上げます。運転される方の相談で、いちばん見落とされているのは走っている時間ではありません。乗り降りの動作です。

CUREPRO監修者 阿部純治 柔道整復師

阿部純治

ストレッチや運動は、痛みが増えない範囲で少しずつ続けましょう。強い違和感がある場合は中止してください。

配送や営業で一日に何十回も乗り降りする方の場合、その回数だけ体をひねりながら中腰で座面へ落ち、また同じ動きで立ち上がっています。座っている時間の負担は緩やかですが、乗り降りは一瞬に力が集中します。

順序を変えるだけで負担は減らせます。乗るときは、まずお尻を座面に置いてから、両足をそろえて車内へ回し入れる。降りるときは、両足をそろえて外へ出し、足裏が地面についてから立ち上がる。

体をひねりながら座る、ひねりながら立つ動作をなくすことが、一日単位でみればいちばん大きな差になると感じています。

CUREPRO監修者 阿部純治 柔道整復師

阿部純治

運転の多い方には、必ず一日の乗り降りの回数を伺います。走行時間だけを聞いていると、負担の総量を見誤るためです。長距離を走る方より、短い距離を何十回も往復する方のほうがつらそうにされていることは珍しくありません。もう一つお伝えしているのが、荷物を積み下ろした直後の運転です。腰まわりが働いた直後にすぐ座ると、疲れた状態のまま固定されます。積み終わったら30秒でよいので立って腰を伸ばしてから乗り込む。この習慣を持つ方は、翌朝の残り方が違うと話されます。股関節の前側については腸腰筋の働きとケアも参考になるはずです。

運転できないほどの症状は座り方の工夫で解決する段階ではない

脚のしびれを施術者へ相談する利用者

線引きははっきりさせておきましょう。シートを整え、休憩を挟んでも、痛みで運転が続けられないのであれば、それは座り方の問題を超えています。

坐骨神経痛は病名ではなく、症状の呼び名です。背景には腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、お尻の奥にある梨状筋の緊張など、いくつもの状態が考えられます。どれが背景にあるかによって、必要な対応も変わってきます。

シートの調整と休憩の取り方を2週間から4週間続けても変化がない場合、あるいは記事の冒頭に挙げた症状がある場合は、整形外科でご相談ください。

仕事で運転される方ほど、早い段階で見立てを立てておくほうが、結果的に休む期間を短くできると考えています。腰そのものの痛みが強い場合は、腰の痛みの原因もあわせて確認してみてください。

坐骨神経痛と車の運転についてよくある質問

車の運転と坐骨神経痛について相談する人

運転をやめれば症状は落ち着きますか

落ち着く方もいますが、それだけで解決するとは限りません。運転は負担のかかる場面の一つであって、原因そのものとは違います。デスクワークや立ち仕事など、ほかに長時間の姿勢がないかも合わせて見直すほうが確実です。

毎日仕事で運転していても続けながら対応できますか

できる場合が多いところです。走り出す前のシート調整、1時間から2時間ごとに降りる休憩、乗り降りの動作。この3つは仕事を止めずに変えられます。ただし冒頭に挙げた症状があるときは別です。安全に関わるため、無理を通す場面ではありません。

太ももの裏がしびれるのはなぜですか

座面の前の縁が太ももの裏を圧迫していることが一つ。座席が遠く、膝が伸びすぎていることが一つ。どちらも座席位置の調整で変わる可能性があります。太ももの裏が痛む原因には、ほかの要因もまとめてあります。

シートヒーターは使ったほうがよいですか

冷えて動きにくいと感じる方には、悪い選択ではありません。ただし温めることで症状が強まる方もいます。腫れや熱を持っている感覚があるときは温めを控え、様子を見てください。

長距離を走る前にやっておくとよいことはありますか

あります。乗り込む前に、お尻と太ももの裏を20秒ずつ伸ばしておいてください。固まった状態で座り始めるのと、一度ゆるめてから座り始めるのとでは、最初の1時間の感じ方が変わります。

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まとめ|坐骨神経痛と車の運転は走る前と停めたあとで差がつく

坐骨神経痛で車の運転がつらいとき、まず変えるのは運転中の過ごし方ではありません。走り出す前のシートを5つの点で合わせ、1時間から2時間で車を降りて動く。この2つが土台です。

車の運転での座り方は、事務所の椅子とは条件が違います。座面が後ろへ傾き、振動があり、姿勢を大きく変えられない。だからこそ、走り出す前の設定で決まる部分が大きいのです。

そして、乗り降りの動作からひねりをなくしてください。走行時間より、その数秒の積み重ねのほうが体に残ります。

運転中に姿勢を変えたくなったら、それは休憩のサインです。足に力が入りにくい、感覚が鈍い、痛みで集中できないと感じたときは、運転を中止してください。排尿や排便の異常があるときは、安全な場所に停めたうえで医療機関へご連絡ください。

CUREPROは完全自費で、痛む場所だけでなく体全体のつながりから構造を整える整体院です。

運転される方のご相談では、一日の乗り降りの回数、走行時間、荷物の扱いまで伺ったうえで、股関節と骨盤の動きを検査し、シートの見直しとセルフケアの優先順位をお伝えしています。

坐骨神経痛の座り方とクッションを見直しても変わらなかった方こそ、体の側に何が起きているかを確かめてみてください。東京・埼玉・千葉の10院でお待ちしています。

この記事の監修者

CUREPRO代表 阿部純治 柔道整復師

阿部純治(あべ じゅんじ)

柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表

中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤と下半身の構造改善を得意とする。

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