寝違えの原因と対処法|やってはいけないこと
朝、目が覚めて起き上がろうとした瞬間、首に激痛が走って動かせない。振り向くことも、上を向くこともできず、一日じゅう首をかばって過ごす。寝違えのつらさは、経験した人にしか分からないしんどさがあります。しかも、やっかいなことに、良かれと思ってやったケアがかえって悪化させてしまうことも少なくありません。
寝違えの多くは数日で自然に和らいでいきますが、その数日をどう過ごすかで、回復の早さは大きく変わります。とくに大切なのが、急性期にやってはいけないことを知っておくことです。この記事では、まず見逃せないサインをお伝えし、寝違えが起こる仕組み、やってはいけない対処、正しい和らげ方、そして繰り返さないための予防まで、順に整理していきます。
本記事は柔道整復師(阿部純治/株式会社May-Plus 代表)監修のもと、CUREPROが構成・執筆しています。医学的な情報は公的機関の情報を出典として記載しています。
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤矯正と下半身の構造改善を得意とする。
まず確認したい、ただの寝違えではないサイン

寝違えの大半は、首の筋肉や関節の一時的なこわばりによるもので、命に関わるものではありません。ただし、ごくまれに、寝違えと思っていた首の痛みが、別の病気のサインであることがあります。次のようなときは、セルフケアより受診を優先してください。
| こんなときは受診を優先 | 背景にある可能性 |
|---|---|
| 手や腕にしびれが広がる、力が入りにくい、細かい動作がしづらい | 首の神経が圧迫される病気の可能性 |
| 発熱をともない、首が硬くて前に曲げられない | 髄膜炎など、緊急を要する状態の可能性 |
| 激しい頭痛やめまい、ろれつの回りにくさをともなう | 脳の病気など、緊急を要する状態の可能性 |
| 事故や転倒で首を痛めたあとの痛み | 首のケガの可能性 |
| 数日たっても和らがない、日ごとに強くなる | 首の骨や神経の病気が隠れている可能性 |
とくに、手足のしびれや力の入りにくさをともなうときは、単なる寝違えではなく首の神経が関わっている可能性があります。首の急な痛みでも、手足に症状がなければ多くは数週間で自然に回復していきますが、症状が改善しない、痛みが強くなる場合は整形外科を受診してください(参考:日本臨床整形外科学会)。
寝違えは、なぜ起こるのか

危険なサインがないことを確認できたら、寝違えの中身を見ていきましょう。寝違えは、医学的には急性の首の痛みとして扱われ、首すじや肩にかけての筋肉や筋膜、あるいは首の骨と骨をつなぐ椎間関節に、一時的な炎症やこわばりが起きた状態と考えられています。
睡眠中に、首に無理のかかる不自然な姿勢が続くと、その部分の筋肉や関節が圧迫されたり引き伸ばされたりします。血のめぐりが滞った状態が長く続き、朝、動かした瞬間に痛みとして現れる。これが寝違えの基本的な流れです。首の後ろや付け根、肩にかけて痛むことが多く、特定の方向へ動かそうとすると鋭く痛むのが特徴です。
もう少し具体的に見ると、寝違えで痛みが出やすいのは、首を動かす筋肉やその表面をおおう筋膜、そして首の骨どうしをつなぐ小さな関節です。長時間、首がねじれたり傾いたりした姿勢のまま固定されると、これらの組織の一部だけに負担が集中します。血のめぐりが滞って酸素や栄養が届きにくくなり、痛みを生む物質がたまったところへ、起き上がって急に動かす刺激が加わる。すると、まるでスイッチが入ったように痛みが走ります。多くの場合、骨や神経そのものが壊れているわけではなく、あくまで一時的なこわばりや炎症であるため、時間の経過とともに落ち着いていきます。
「寝てないのに寝違えた」のはなぜか
寝違えは睡眠中に起こるものと思われがちですが、実は睡眠だけが原因ではありません。前日の疲労、首肩の筋肉の緊張、体の冷え、水分の不足、慣れない姿勢での作業などが下地としてあると、ちょっとしたきっかけで寝違えが起こりやすくなります。「たいして寝ていないのに寝違えた」「うたた寝で寝違えた」というのは、こうした下地がすでにできていたためと考えられます。つまり寝違えは、睡眠中の姿勢という引き金だけでなく、その前からたまっていた首肩の負担が、朝という形で表面化したものだと捉えると分かりやすいでしょう。
たとえば、前日にパソコン作業やスマートフォンを長時間続けて首肩がこわばっていた、慣れないスポーツや力仕事で首まわりに疲れがたまっていた、飲みすぎて水分が足りないまま深く眠り込んだ、冷房で首元が冷えていた。こうした条件がそろうほど、寝違えは起こりやすくなります。逆に言えば、寝違えを繰り返す方は、睡眠中の姿勢を気にする以前に、日中や就寝前にどれだけ首肩の負担を減らせているかを見直す価値があります。
寝違えたとき、やってはいけないこと

ここが、この記事でもっともお伝えしたいところです。つらいあまり、次のような対処をしたくなりますが、急性期、とくに痛めた当日から数日はかえって悪化させることがあります。
まず、痛む場所を強くもみほぐすことは避けてください。寝違えの急性期は、筋肉や関節に炎症が起きている状態です。そこを強く刺激すると、炎症を広げてしまい、痛みが長引くことがあります。同じ理由で、痛いのを我慢して無理に首を動かす、ぐいぐいストレッチするのも逆効果になりがちです。「早く治そう」と動かすほど、かえってこじれてしまいます。
とくにやりがちなのが、痛む首を反対方向へぐいっと倒して伸ばす、いわゆる自己流のストレッチです。気持ちよさを求めて強く伸ばすと、炎症を起こしている組織をさらに引き伸ばすことになり、痛めた範囲が広がることがあります。首をぐるぐると大きく回すのも、この時期は避けてください。動かすなら、あくまで痛みの出ない範囲に、そっととどめることが大切です。
もうひとつ注意したいのが、温めるか冷やすかです。肩こりのような慢性のこりには温めることが役立ちますが、寝違えの急性期はまだ炎症がある段階のため、温めると一概によいとは限りません。温めることで軽快することもあれば、逆に痛みが強くなることもあるとされています(参考:日本臨床整形外科学会)。熱をもってズキズキ痛む急性期は、温めるよりも安静を優先し、必要に応じて冷やすほうが無難です。飲酒や長時間の入浴も血のめぐりを強めて炎症を刺激することがあるため、痛みの強い時期は控えめにしてください。
寝違えを和らげる、今日からの対処

やってはいけないことを踏まえたうえで、正しい和らげ方を段階的に見ていきます。
痛みが強い時期は、楽な姿勢で安静に
痛めた直後から痛みの強い時期は、無理に動かさず、首がもっとも楽な位置で安静にすることが基本です。仕事や家事で首を使うときも、痛む方向へは無理に向けず、体ごと向きを変えるようにすると負担が減ります。デスクワークでは、画面を正面に置き、うつむき姿勢が続かないよう気をつけてください。熱をもってズキズキするときは、痛む場所を短時間冷やすと痛みが和らぐことがあります。
楽な姿勢が見つけにくいときは、タオルを丸めて首の下にあて、首の自然なカーブを支えてあげると、筋肉が緊張せずに休みやすくなります。寝るときも、痛む側を下にしない、枕の高さを一時的に調整するなど、首に余計な力がかからない工夫をしてみてください。市販の消炎鎮痛薬や湿布を使うことも、痛みの強い時期には選択肢のひとつです。痛みで眠れないほどつらい、日常生活に支障が出るという場合は、我慢せず整形外科で相談してください。
痛みが落ち着いてからのケア
痛みのピークが過ぎ、動かせる範囲が広がってきたら、少しずつ首や肩をやさしく動かしていきます。痛みのない範囲で、ゆっくり首を傾けたり回したりして、こわばりをほぐしていきましょう。この段階になれば、蒸しタオルや入浴で首肩を温め、血のめぐりを促すことも助けになります。急性期と回復期で、してよいことが入れ替わる。この切り替えを意識するだけで、回復の質が変わります。首肩をやわらかく保つ方法は僧帽筋の役割とほぐし方や体をやわらかくする習慣も参考になります。
繰り返す寝違えは、首肩の土台から見直す
首肩に負担をためる姿勢を確認

年に何度も寝違える、いつも同じ側を寝違える。そんな方は、視点を切り替えるタイミングです。
寝違えやすいのは、首肩に負担がたまっている体
なぜ、同じ人が繰り返し寝違えるのでしょうか。それは、寝違えという結果が起きる前から、首肩に負担がたまりやすい状態ができているからです。猫背や巻き肩で頭が前に出た姿勢が続くと、首の後ろの筋肉は一日じゅう頭を支え続け、慢性的に緊張します。肩甲骨が動かず固まっていると、その緊張はさらに抜けにくくなります。こうして首肩がいつも張り詰めた状態にあると、睡眠中のちょっとした姿勢の乱れが引き金になって、寝違えが起こりやすくなるのです。
つまり、繰り返す寝違えは、睡眠の問題というより、日中の姿勢と首肩の負担のたまり方の問題です。寝違えそのものへの対処だけでなく、負担をためにくい体づくりへ目を向けることが、繰り返しから抜け出す近道になります。首の痛みが気になる方は首が痛いときの見方、肩こりが強い方は肩こりの原因と対処もあわせてご覧ください。
実際に、寝違えを何度も繰り返す方の首肩を確認すると、痛めた首そのものよりも、肩甲骨の動きが乏しくなっていたり、頭が前に出た姿勢が固定されていたりすることがよくあります。首は、頭という重い部分と、肩甲骨から続く背中との間にあって、上下からの負担を受け止める中継地点です。その上流と下流のバランスが崩れていると、首だけがいつも過剰に働かされ、寝違えという形でたびたび悲鳴を上げることになります。だからこそ、繰り返す寝違えは、首をなんとかしようという発想から、首に負担を集めている体全体の使い方を整えるという発想へ切り替えることが、遠回りに見えて確実な対策になります。
寝違えを繰り返さないための予防

その場のケアと並行して、寝違えの起こりにくい土台を日々の習慣からつくっていきましょう。
まず見直したいのが枕です。高すぎたり低すぎたりする枕は、睡眠中の首の角度に無理を生みます。あお向けに寝たときに、首の自然なカーブが保たれ、あごが軽く引ける高さが目安です。横向きで寝ることが多い方は、首から背骨がまっすぐ一直線になる高さに合わせると、首への負担が減ります。
枕は、素材の硬さや形も含めて、自分の体格や寝方に合うものを選ぶことが大切です。合わない枕を長く使い続けると、毎晩少しずつ首に無理がかかり、寝違えの下地をつくってしまいます。買い替えの目安として、朝起きたときに首肩が張っている、枕が高すぎる・低すぎると感じるなら、一度見直してみる価値があります。タオルを折りたたんで高さを微調整し、自分に合う高さを探ってから枕を選ぶのもよい方法です。
寝る前のひと手間も効果的です。入浴で首肩を温めてこわばりをゆるめ、軽く首を回してから眠ると、緊張したまま眠りにつくのを防げます。日中も、一時間に一度は姿勢を変えて首肩を動かし、負担をためこまないことが大切です。体の冷えは筋肉を硬くするため、冷房の風が直接首に当たらないようにする、寒い時期は首元を温めるといった工夫も、寝違えの予防につながります。姿勢そのものを見直したい方は姿勢の見直し方や猫背の原因と改善、肩甲骨の動きが気になる方は肩甲骨まわりのケアを参考にしてください。
よくある質問

寝違えは何日くらいで和らぎますか
手足のしびれなどをともなわない寝違えの多くは、数日から一週間ほどで自然に和らいでいきます。ただし、無理に動かしたり強くもんだりして炎症を刺激すると、回復が遅れることがあります。一週間以上たっても改善しない、痛みが強くなる、しびれが出てきたという場合は、様子を見すぎず整形外科を受診してください。
寝違えは何科に行けばよいですか
首の痛みが中心で、骨や関節、神経の状態を確認したいなら整形外科が入り口になります。手や腕のしびれ、力の入りにくさをともなうときは、神経の要因も含めて整形外科で相談してください。発熱をともない首が硬い、激しい頭痛やめまいをともなうといった場合は、ためらわず医療機関を受診してください。
寝違えたとき、もんだり温めたりしてもよいですか
痛めた直後の急性期は、強くもむこと、無理に動かすこと、そして温めることは避けたほうが無難です。この時期は炎症がある段階で、刺激すると痛みが長引くことがあります。痛みのピークが過ぎて動かせるようになってから、やさしく動かす、温めるといったケアに切り替えるのが基本の流れです。
何度も寝違えるのはなぜですか
繰り返す寝違えの背景には、日中の姿勢や首肩の負担のたまり方があります。猫背や巻き肩で首の後ろが緊張し、肩甲骨が固まった状態が続くと、睡眠中のわずかな姿勢の乱れでも寝違えが起こりやすくなります。寝違えそのものへの対処だけでなく、姿勢や肩甲骨から負担をためにくい体づくりを見直すことが、繰り返しを防ぐ助けになります。
寝違えたまま仕事に行っても大丈夫ですか
痛みが強くなければ、無理のない範囲で日常を送っても差し支えありません。ただし、痛む方向へ首を無理に向けない、長時間のうつむき姿勢を避ける、こまめに姿勢を変えるといった配慮は必要です。デスクワークでは画面を正面に置き、首をひねらずに済むよう環境を整えてください。痛みが強くて集中できない、動かせないという場合は、無理をせず休むことも大切です。
寝違えを早く和らげるにはどうすればよいですか
急性期は、もまない・無理に動かさない・温めすぎないという三つを守り、楽な姿勢で安静にすることが、結果的にいちばんの近道です。痛みのピークが過ぎたら、痛みのない範囲でやさしく動かし、温めて血のめぐりを促していきます。あせって強い刺激を加えるほど回復は遠のくため、時期に合わせたケアを心がけてください。
寝違えがつらいときは、CUREPROにご相談ください
首の緊張に合わせた施術

寝違えのつらさは、その多くが数日で和らいでいきますが、急性期にやってはいけないことを避け、正しく安静とケアを切り替えることが、回復を早める鍵になります。危険なサインを見逃さないこと、急性期はもまず温めず安静にすること、そして繰り返す場合は睡眠だけでなく、日中の姿勢と首肩の負担から見直すこと。この三つが、つらさから抜け出す道筋になります。
寝違えを何度も繰り返す、痛みがなかなか引かない、姿勢のクセから根本的に見直したい。そんなときは、CUREPROにご相談ください。柔道整復師の国家資格を持つ施術者が、痛む首だけでなく、頭の位置や肩甲骨、背中の使い方まで含めて全身のつながりから状態を確認し、一人ひとりの体に合わせて、寝違えにくい体づくりをサポートします。まずはお近くのCUREPROへ、気軽にお問い合わせください。
監修者プロフィール
阿部 純治(あべ じゅんじ)/柔道整復師・株式会社May-Plus 代表取締役。東京・埼玉・千葉で構造改善型の整体院ブランド「CUREPRO」を展開。「人生のパフォーマンスを上げる整体」を掲げ、薬に頼らず本来の力を引き出すことを大切に、痛みの根本にある体全体のつながりへ目を向けたケアを追求している。
出典・参考
- 公益社団法人 日本臨床整形外科学会「頚(頚椎)」健康相談 https://jcoa.gr.jp/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E7%9B%B8%E8%AB%87%EF%BC%88%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%EF%BC%89/%E9%A0%B8%EF%BC%88%E9%A0%B8%E6%A4%8E%EF%BC%89/
- 公益社団法人 日本整形外科学会「頚椎(くび)の症状一覧」 https://www.joa.or.jp/public/sick/body/cervix.html
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)・株式会社May-Plus代表
2011年に整体院を開業、2013年に株式会社May-Plusを設立。CUREPROブランドで首都圏(埼玉・東京・千葉)に10店舗を展開する代表経営者。日本大学法学部卒業後、中央医療学園専門学校で柔道整復師資格を取得。「保険診療に依存しない構造改善型整体モデル」を推進。