人生のパフォーマンスを上げる整体
コラム
その呼吸の浅さや肩こり、横隔膜の硬さが関わっているかもしれません。
呼吸の主役となる筋肉を、やさしくゆるめて深い呼吸を取り戻しましょう。
目次

▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤矯正と下半身の構造改善を得意とする。
呼吸が浅い気がする、肩こりがなかなか抜けない、なんとなく息苦しい。こうしたお悩みの背景に、横隔膜(おうかくまく)という筋肉の硬さが関わっていることがあります。「膜」という名前から薄いシートのようなものを想像しがちですが、横隔膜は立派な筋肉で、呼吸の主役を担っています。
横隔膜は、胸とお腹の境目にあるドーム状の筋肉です。私たちが意識せずに繰り返している呼吸の、およそ7割をこの筋肉が担っているといわれます。ところがデスクワークや猫背、ストレスが続くと、横隔膜の動きが小さくなって硬くなり、呼吸が浅くなって、肩こりや疲れやすさ、自律神経の乱れにまでつながります。
この記事では、横隔膜がどこにあって何をしているのか、硬くなる原因、呼吸の浅さや自律神経との関係、そしてゆるめるほぐし方と呼吸エクササイズまでを、首都圏10店舗のCUREPRO(キュアプロ)で施術にあたる柔道整復師の視点からお伝えします。呼吸と肋骨の関わりを知りたい方は肋骨の役割と構造もあわせてご覧ください。

横隔膜は、胸とお腹を仕切るように位置する、ドーム状(おわんを伏せたような形)の筋肉です。肋骨の下のへり、背骨、みぞおちの裏あたりから始まり、中央に向かって盛り上がっています。ちょうど、肺の下にフタをするような形で広がっています。
「膜」と呼ばれますが、その実体は筋肉です。息を吸うとき、この横隔膜が収縮してドームが下がり、肺の入る空間が広がって、空気が自然に入ってきます。息を吐くときは、横隔膜がゆるんでドームが元の位置に戻り、空気が押し出されます。つまり、横隔膜が上下に動くことで、私たちは呼吸をしているわけです。肋骨や背骨とつながっているため、姿勢の影響を大きく受ける筋肉でもあります。
| 部位 | 特徴 |
|---|---|
| 位置 | 胸とお腹の境目。肺の下、みぞおちの奥 |
| 形 | おわんを伏せたようなドーム状 |
| 正体 | 膜ではなく筋肉。呼吸の主役を担う |

横隔膜は呼吸の主役ですが、それ以外にもいくつかの大切な働きを担っています。
| 役割 | 具体的な働き |
|---|---|
| 呼吸を担う | 上下に動いて息を吸う・吐く(呼吸の約7割) |
| 体幹を支える | お腹の圧を高め、体の軸を安定させる |
| 姿勢を保つ | 背骨を内側から支える |
| 内臓を動かす | 上下動が内臓を軽くマッサージする |
| 自律神経に関わる | 深い呼吸が副交感神経を高める |
とくに注目したいのが、体幹を支える働きと、自律神経との関わりです。横隔膜は、お腹の奥のインナーマッスルと連携して、お腹の中の圧(腹圧)を高め、体の軸を内側から安定させます。また、横隔膜をしっかり使った深い呼吸は、リラックスをつかさどる副交感神経を高めることが知られています。呼吸の主役であると同時に、体の安定と心の落ち着きにも関わる筋肉なのです。深い呼吸のやり方は自律神経を整える呼吸法で詳しく解説しています。

横隔膜は直接触れにくい筋肉ですが、その硬さは呼吸の浅さや姿勢、肩こりとして現れます。次の項目で確かめてみてください。
| セルフチェック項目 | 該当の有無 |
|---|---|
| ①呼吸が浅い・息を深く吸えない感じがある | □ |
| ②息を吸うとき肩が上がる(胸式呼吸になりがち) | □ |
| ③肩こりや首こりが慢性的にある | □ |
| ④猫背や巻き肩を指摘される | □ |
| ⑤デスクワークで前かがみの時間が長い | □ |
| ⑥ストレスや緊張を感じやすい | □ |
| ⑦疲れやすい・寝ても疲れが取れにくい | □ |
| ⑧お腹がふくらむ腹式呼吸がしにくい | □ |
| ⑨みぞおちのあたりが詰まる・張る感じがある | □ |
| ⑩声が小さい・続けて話すと息が切れる | □ |
3つ以上当てはまる方は、横隔膜の動きが小さくなっている可能性があります。とくに②の肩が上がる呼吸や⑧の腹式呼吸のしにくさは、横隔膜がうまく使えていないサインです。横隔膜が硬いと、首や肩の筋肉が呼吸を肩代わりしようと働き、肩こりにつながることもあります。

横隔膜の動きが小さくなる背景には、いくつかの共通した原因があります。
もっとも多いのが、姿勢の崩れです。猫背で背中が丸まると、肋骨が下がって横隔膜が広がるスペースが狭くなり、動きが制限されます。デスクワークで前かがみの時間が長いと、この状態が固定されてしまいます。次に多いのが、ストレスや緊張です。緊張すると呼吸が浅く速くなり、横隔膜を大きく使わない胸式呼吸が癖になります。この浅い呼吸が続くと、横隔膜の動きはますます小さくなります。さらに、運動不足で深い呼吸をする機会が減ることも、横隔膜の働きを鈍らせます。姿勢・ストレス・運動不足という、現代の生活に多い要素が重なりやすい筋肉です。猫背が気になる方は猫背の原因と改善法もご参考に。

横隔膜を整えると体や心の調子が変わるのは、この筋肉が呼吸を通じて全身とつながっているからです。
| 不調 | 横隔膜との関わり |
|---|---|
| 肩こり・首こり | 呼吸を首肩の筋肉が肩代わりしてこる |
| 疲れやすさ・だるさ | 浅い呼吸で酸素を十分取り込みにくい |
| 自律神経の乱れ | 深い呼吸が減り副交感神経が働きにくい |
| 猫背・姿勢の崩れ | 体幹を支える力が弱り姿勢が崩れる |
| 緊張・不安感 | 浅く速い呼吸が緊張を強める |
ここで知っておきたいのは、横隔膜の硬さは「呼吸だけの問題」では終わらないことです。呼吸が浅くなると、首や肩がこり、酸素が取り込みにくくなって疲れやすくなり、副交感神経が働きにくくなって緊張が抜けにくくなります。逆に、横隔膜をしっかり使った深い呼吸を取り戻すと、これらが連鎖的に整っていきます。肩こりや疲れ、緊張が抜けないとき、呼吸という土台に目を向ける価値があります。胸を開くと呼吸が深まります。胸を開くストレッチもご参考に。

横隔膜は直接もめませんが、呼吸と動きでゆるめ、働きを取り戻すことができます。いずれもリラックスして、痛みのない範囲で行ってください。
仰向けに寝るか椅子に座り、片手をお腹に当てます。鼻からゆっくり息を吸って、お腹が手を押し返すようにふくらませます。次に口から細く長く息を吐き、お腹がへこむのを感じます。吐く時間を長めにすると、横隔膜がしっかり動きます。1日数分、心地よく続けてください。
両手を肋骨の下のへりに添え、息を吸うときに肋骨が左右と背中側に広がるのを感じます。横隔膜は肋骨の下から始まるため、肋骨を広げる意識で呼吸すると、横隔膜の動きを引き出せます。胸式呼吸が癖になっている方におすすめです。
立つか座った状態で片手を上げ、体を横に倒して体側を伸ばします。その姿勢で深く呼吸すると、伸ばした側の横隔膜や肋骨まわりが広がります。左右行うことで、横隔膜の左右のバランスを整えやすくなります。みぞおちの詰まり感がある方にも役立ちます。
呼吸法をもっと詳しく知りたい方は自律神経を整える呼吸法もあわせてご覧ください。

| こんなサインがあるとき | 考えられること・対応 |
|---|---|
| 安静にしていても息苦しい・呼吸が苦しい | 呼吸器・心臓の病気。すぐ受診・救急へ |
| 胸の痛みや圧迫感を伴う | 心臓・肺の病気。すぐ受診・救急へ |
| みぞおちの痛みが続く・食事でつかえる | 食道裂孔ヘルニアなど。消化器内科へ |
| 発熱や咳を伴う息苦しさ | 呼吸器の感染など。内科へ |
| 動悸やめまいを伴う呼吸の乱れ | 循環器・自律神経など。内科へ |
| 突然のしゃっくりが長く止まらない | 横隔膜の刺激など。長引けば内科へ |
これらに当てはまるときは、横隔膜のセルフケアより先に、医療機関を受診してください。とくに、安静にしていても息苦しい、胸の痛みや圧迫感を伴うといった場合は、呼吸器や心臓の病気の可能性があり、緊急性が高いことがあります。すぐに受診してください。横隔膜まわりの不調は、まれに食道裂孔ヘルニアなど内臓の病気が関わることもあるため、みぞおちの症状が続く場合は消化器内科で確かめましょう。整体は、これらの病気を診断・治療するものではなく、医療機関での確認後に、姿勢や呼吸の使い方を整える役割です。

| 避けたいこと | 理由 |
|---|---|
| 息苦しさがあるのに自己判断でケアする | 呼吸器・心臓の病気を見逃すおそれ |
| みぞおちを強く押す・もむ | 内臓を傷めるおそれがある |
| 力んで無理に深呼吸をくり返す | 過呼吸やめまいを招くことがある |
| 猫背のまま呼吸の練習をする | 横隔膜が広がらず効果が出にくい |
| 胸の痛みや動悸を我慢する | 重い病気を見逃すおそれがある |

胸とお腹の境目、肺の下、みぞおちの奥にあるドーム状の筋肉です。肋骨の下のへりや背骨から始まり、おわんを伏せたような形で広がっています。直接触れるのは難しい場所にあります。
「膜」と呼ばれますが、その正体は筋肉です。収縮してドームが下がると息が吸え、ゆるんで戻ると息が吐けます。この上下運動で、呼吸のおよそ7割を担う、呼吸の主役の筋肉です。
呼吸が浅くなり、首や肩の筋肉が呼吸を肩代わりして肩こりが起きやすくなります。また、酸素を十分取り込みにくく疲れやすくなったり、深い呼吸が減って自律神経が乱れやすくなったりします。姿勢の崩れにもつながります。
直接もむことはできないため、呼吸と動きでアプローチします。お腹をふくらませる腹式呼吸、肋骨を広げる呼吸、体側を伸ばしての呼吸などが役立ちます。吐く時間を長くすると、横隔膜がしっかり動きます。毎日数分続けるのがおすすめです。
慣れない呼吸エクササイズや運動のあとの軽い筋肉痛なら、心配は少ないでしょう。ただし、息苦しさや胸の痛み、みぞおちの痛みが続く場合は、呼吸器や心臓、消化器の病気が関わることもあるため、自己判断せず医療機関を受診してください。

横隔膜は、胸とお腹の境目にあるドーム状の筋肉で、「膜」と呼ばれながらも呼吸の主役を担っています。上下に動くことで息を吸い吐きし、呼吸のおよそ7割を担うほか、体幹を支える、姿勢を保つ、自律神経に関わるといった役割も持っています。姿勢の崩れ、ストレス、運動不足で動きが小さく硬くなると、呼吸が浅くなり、肩こりや疲れやすさ、自律神経の乱れ、姿勢の崩れにつながります。
整えるコツは、直接もむのではなく、呼吸と動きでゆるめること。お腹をふくらませる腹式呼吸、肋骨を広げる呼吸、体側を伸ばしての呼吸で、横隔膜の動きを引き出します。吐く時間を長くするのがポイントです。ただし、安静にしても息苦しい、胸の痛みや圧迫感を伴うといった場合は、呼吸器や心臓の病気のことがあるため、まず医療機関を受診してください。肩こりや疲れ、緊張が抜けない、呼吸が浅いと感じるという方は、横隔膜だけでなく、姿勢や肋骨、自律神経のつながりまで整える必要があります。そうしたお悩みは、構造から整える整体が力になれる領域です。呼吸や姿勢のことでお悩みなら、CUREPROにお気軽にご相談ください。整体に初めて行く方へも参考になります。
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)・株式会社May-Plus代表
2011年に整体院を開業、2013年に株式会社May-Plusを設立。CUREPROブランドで首都圏(埼玉・東京・千葉)に10店舗を展開する代表経営者。日本大学法学部卒業後、中央医療学園専門学校で柔道整復師資格を取得。「保険診療に依存しない構造改善型整体モデル」を推進。