立ち上がると膝が痛い原因とは?|50代からのサインと立ち方
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤矯正と下半身の構造改善を得意とする。
椅子から立ち上がる瞬間、膝にズキッと痛みが走る。長く座った後の立ち始めがつらく、少し歩くと楽になる。
会議の後、映画の後、車から降りるとき。決まって「座った後の立ち上がり」で膝が痛むという悩みは、40〜50代から急に増えてきます。
歩けているだけに様子を見てしまいがちですが、実はこの「立ち上がりの痛み」は、膝からの最初の連絡であることが多いのです。
先に全体像をお伝えします。立ち上がりは、体重を曲げた膝で持ち上げる、1日の中で膝への負荷が最も大きい動作のひとつです。
だから膝の不調は、階段や長歩きより先に、立ち上がりに現れやすい。多くは筋力と使い方でカバーできる段階の話ですが、50代前後の方では変形性膝関節症の初期サインである場合もあり、見分けと早めの対応に価値があります。
この記事では、整体院を10院運営する柔道整復師が、受診を優先すべきサイン、立ち上がりで痛む仕組み、年代別の考え方、膝にやさしい立ち上がり方、そして座りっぱなしの毎日から膝を守るケアまでを順番に解説します。
先に確認 受診を優先すべきサイン

立ち上がりの痛みの多くは筋肉と関節の使い方の話ですが、次に当てはまる場合は、セルフケアより先に整形外科で確かめてください。
- 膝が腫れている、熱を持っている、水がたまっている感じがする
- 膝が伸びきらない、曲げ伸ばしの途中で引っかかって動かなくなることがある
- 夜、じっとしていても痛む。痛みで目が覚める
- 転倒やひねった後から痛みが続いている
- 安静にしていても痛みが強くなっていく、発熱を伴う
これらは、炎症や半月板・靭帯の問題など、動作の工夫だけでは対応できない原因を確かめるサインです。膝の痛み全体の見分けは膝が痛いときの原因で場所別・場面別に整理しているので、立ち上がり以外でも痛む方はあわせて確認してください。
ここから先は、受診サインのない、立ち座りの場面に痛みが集中している方に向けて進めます。今は該当しない方も、経過の途中で腫れや夜間痛が加わったら、その時点で受診に切り替えてください。
サインは一度きりではなく、経過の中で見張り続けるものです。
なぜ立ち上がりで膝が痛むのか

受診サインに当てはまらない方のために、立ち上がりという動作の正体から説明します。
椅子から立つとき、膝はおよそ90度に曲がった状態から、全体重を持ち上げます。曲がった角度で体重を支えるとき、膝のお皿(膝蓋骨)とその奥の関節には、平地を歩くときよりはるかに大きな圧力が集中します。
しかも立ち上がりは、止まった状態からいきなり最大負荷がかかる動作。ウォーミングアップなしの全力仕事を、膝は1日に何十回も求められているわけです。
膝の不調が階段や長歩きより先に立ち上がりへ現れやすいのは、この負荷の大きさゆえです。身近な実感としても、高いカウンター椅子からの立ち上がりは平気なのに、低いソファや床からは膝がつらい、という差を感じたことがあるはずです。
膝の曲がりが深いほど、持ち上げる仕事は重くなる。この単純な原則が、後で紹介する椅子の高さ戦略の土台になります。
もうひとつの要因が、座りっぱなしの時間そのものです。同じ角度で膝を曲げたまま長時間過ごすと、膝まわりの血流は滞り、関節の動きはこわばります。
機械が長く止まった後の動き出しが重いのと同じで、久しぶりに動かす一歩目は、関節にとって最も条件の悪い瞬間です。立ち上がってすぐは痛むのに、少し歩くと楽になるという典型的な経過は、動き出しのこわばりが動きによって解除されていくことを映しています。
つまり「座ると痛い・立ち始めが痛い・動くと楽」という3点セットは、膝の固定時間と動き出しの負荷という、この記事で扱える範囲の痛みであることを示すヒントなのです。逆に、動いても楽にならず悪化していく場合は、先ほどの受診サイン側で考えてください。
なお、立ち上がりではなく、座っている最中に膝が痛くなってくる方もいます。深く曲げた膝の裏側が圧迫されて痛む、狭い座席で同じ角度が続くと膝の裏が張ってくる、というパターンです。
この場合は、ときどき膝を伸ばして角度を変えることが第一の対策で、膝裏が主役の痛みは膝裏が痛いときの原因で詳しく扱っています。椅子の奥行きが深すぎて膝裏が座面の縁に当たる場合は、背中にクッションを入れて座る位置を調整するだけでも変わります。
年代別の考え方 50代の女性、そして20代でも

50代前後の方へ 変形性膝関節症の初期サインかもしれない
50代、とくに女性で立ち上がりの膝の痛みが出てきた場合、知っておいてほしいのが変形性膝関節症です。「先月まで何ともなかったのに急に痛み出した」と感じる方が多いのですが、軟骨の変化は年単位で静かに進み、痛みとして自覚される日がある日突然やってくる、という経過をたどりがちです。
日本整形外科学会によると、変形性膝関節症は女性に多く(男女比はおよそ1対4)、初期には立ち上がりや歩き始めなど動作の開始時に痛み、進行すると正座や階段が困難になり、末期には安静時にも痛むようになるとされています。つまり「立ち上がりだけ痛む」という今の状態は、進行度で言えば最も早い段階の典型的な現れ方なのです。
これは怖がらせるための話ではなく、逆です。初期の段階は、体重管理、太ももの筋力、膝への負担を減らす動作の工夫といった、自分で打てる手が最も効く時期です。
体重は、平地歩行で体重の数倍、階段や立ち上がりではさらに大きな負荷として膝に載るため、数キロの減量がそのまま膝の荷下ろしになります。すり減った軟骨の形そのものは戻せないからこそ、形がまだ保たれているうちに、進行を穏やかにする生活へ切り替える。
そのためにもまず一度、整形外科で現在地を確かめておくことをお勧めします。「歳のせい」と自己判断で様子を見るのと、現在地を知ったうえで対策するのとでは、5年後の膝が変わってきます。
階段の上り下りでも痛み始めている方は階段で膝が痛いときの原因もあわせてお読みください。
20〜30代で立ち上がりの膝が痛む方へ
若い世代の立ち上がりの痛みは、軟骨のすり減りよりも、お皿まわりの使い方の問題が中心です。太もも前の筋肉の張りでお皿の動きが窮屈になっている、お尻の筋肉が使えず太もも前だけで立ち上がっている、膝が内へ入るクセでお皿の通り道が偏っている。
いずれも使い方の偏りなので、後で紹介する立ち方とケアがそのまま対策になります。正座の後に痛むのも、深く曲げた固定で膝まわりが圧迫とこわばりを起こした後の動き出し痛で、仕組みは同じです。
お皿の下あたりが痛む方は膝のお皿の下が痛い原因も参考になります。ただし年代を問わず、腫れや引っかかりを伴う場合は受診側で確かめてください。
体の使い方や姿勢の悩みを、プロに相談してみませんか?
膝にやさしい立ち上がり方

今日から変えられるのが、立ち上がり方そのものです。ポイントは3つ。
第一に、浅く座り直してから立つこと。深く座ったまま立とうとすると、体重を持ち上げる距離が長くなります。
お尻を椅子の前方へずらしてから立つだけで、膝の仕事量は減ります。第二に、足を引くこと。
両足をすねが軽く後ろへ傾くくらい手前に引き、足の真上に体重が乗る準備をします。足が前に出たままの立ち上がりは、膝にてこの不利を強います。
第三に、お辞儀をしながら立つこと。頭を前へ、お尻を持ち上げるように体を折りたたんでから伸び上がると、太もも前だけでなくお尻の筋肉が仕事に参加し、膝への集中が分散します。
この3つを合わせると、同じ椅子からの立ち上がりでも膝の負担は目に見えて変わります。
手やひじ掛けで支えることをためらう方も多いのですが、痛みがある時期の補助は悪いことではありません。痛みをこらえた立ち上がりを繰り返すほうが、膝にもフォームにも悪影響を残します。
また、椅子の高さも武器になります。低い椅子ほど膝は深く曲がり、立ち上がりの負荷は増えます。
痛みが強い時期は、座面の高めの椅子を選ぶ、クッションで座面を数センチ上げる、ソファでは肘掛け側に座って補助に使う、といった環境調整が、そのまま膝の保護になります。床からの立ち上がりが最難関なので、痛む時期は床座り生活自体を椅子中心へ寄せるのが賢明です。
床から立つ場合は、四つ這いから片膝立ちを経由し、立てた膝に手を添えて起き上がると、膝への集中を避けられます。
生活の中の具体的な場面にも当てはめておきましょう。和式トイレや低い便座は、日常で最も深い立ち座りを強いる場所なので、痛む時期は補助手すりや洋式・高さのある便座が助けになります。
車の乗り降りは、先にお尻をシートに載せてから両脚をそろえて回し入れる、降りるときは両脚を先に外へ出してから立つ、という順番に変えると、ひねりと深い曲げの同時発生を避けられます。逆に立ちっぱなしで膝が痛む方は、固定の問題という意味で座りっぱなしと同じ構図です。
ときどき片足を低い台に載せる、その場で軽く曲げ伸ばしをするといった「同じ角度を続けない工夫」が共通の答えになります。
座りっぱなし対策と、膝を守る筋肉ケア

立ち方の工夫と並行して、痛みの土台を減らす2つの習慣を紹介します。
1つ目は、固定時間を区切ることです。30分〜1時間に1回、座ったまま膝をゆっくり伸ばして5秒キープを数回。
立ち上がる前には、その場で軽く足踏みをするか、膝の曲げ伸ばしを数回はさんでから立つ。いきなり最大負荷をかける前に、膝に予告を出す習慣です。
デスクワークの方は、この小さな予告があるかないかで、夕方の立ち上がりのつらさが変わってきます。長時間の会議や映画館など席を立てない場面でも、座ったままの膝伸ばしと足首の曲げ伸ばしなら人目を気にせずできます。
2つ目は、膝を守る筋肉づくりです。基本は2種目。
椅子に浅く座り、片膝をゆっくり伸ばして5秒キープ、左右10回ずつ。太もも前の筋肉に、膝を支える仕事を思い出させます。
もうひとつは、浅い椅子スクワットです。椅子の前に立ち、お尻を後ろへ引きながら座面にお尻が触れる直前まで下り、立ち上がる。
10回。これは「膝にやさしい立ち上がり」の反復練習そのものでもあり、フォームと筋力を同時に育てられます。
e-ヘルスネットが示すとおり、反動をつけず、痛みのない範囲で、呼吸を止めずに行うのが原則です。膝の曲げ伸ばしで痛みが強まる日は無理をせず、痛みのない範囲の種目だけにとどめてください。
効果の出方には順番があります。立ち方の工夫と環境調整は、その日から立ち上がりのつらさを減らしてくれます。
予告の習慣は数日で動き出しの重さに効き始め、筋肉づくりの効果が土台に加わるのは数週間〜数ヶ月。即効の工夫でしのぎながら、時間のかかる土台を並行して育てる。
この二段構えを知っておくと、「筋トレを始めたのにすぐ変わらない」という早すぎる失望を避けられます。そして数週間続けても立ち上がりのたびに同じ痛みが出るなら、次の章の段階です。
体の使い方や姿勢の悩みを、プロに相談してみませんか?
立ち方を変えても痛みが続くなら
立ち方・環境・筋肉ケアを数週間続けても立ち上がりの痛みが変わらない場合、膝だけでは完結しない偏りを疑う段階です。膝は、股関節と足首という上下の関節に挟まれた中間の関節で、股関節の硬さやお尻の筋力不足、足首の可動性低下のしわ寄せを受け取りやすい場所です。
膝が内へ入る立ち方、体重の左右差、骨盤の傾き。こうした全身のクセが、立ち上がりのたびに膝へ請求書を送り続けます。
とくに立ち上がりでは、股関節の役割が決定的です。お辞儀をして立つフォームが膝を守るのは、股関節とお尻の筋肉が仕事を分担してくれるからで、股関節が硬い・お尻が使えない体では、頭で分かっていてもそのフォームが取れません。
「正しい立ち方を知っているのにできない」と感じる方は、フォームの知識ではなく、フォームを可能にする体の側が課題です。股関節の状態が気になる方は股関節が痛いときの原因もあわせて確認してください。
CUREPROは、立ち上がりの膝の痛みを膝だけの問題として扱わず、股関節・お尻・足首・立ち方のフォームまで含めた全身の構造から整えていく完全自費の整体院です。初回のカウンセリングで実際の立ち上がり動作と体の動きを検査し、あなたの膝に負担を集めている大元を特定したうえで、施術とセルフケアの見通しをご説明します。立つたびに膝を気にする毎日から抜け出したい方は、お近くのCUREPROでご相談ください。
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤矯正と下半身の構造改善を得意とする。