坐骨神経痛の原因と対処|受診すべき症状
お尻から太ももの裏、ふくらはぎへと、電気が走るような痛みやしびれが片脚に走る。座っているのもつらい、歩くと痛みが増す、夜も痛くて眠れない。坐骨神経痛のつらさは、「死にそう」と検索する方がいるほど、日常を大きく奪います。
やっかいなのは、坐骨神経痛が「病名」ではなく「症状」であり、その奥にある原因によって、してよいことも、受診の緊急度も変わってくる点です。だからこそ、やみくもに対処する前に、原因を見立て、危険なサインを見極めることが欠かせません。この記事では、まず見逃せないサインをお伝えし、坐骨神経痛の正体と主な原因、片側の痛みの見分け方、そして今日からできる対処までを順に整理していきます。
本記事は柔道整復師(阿部純治/株式会社May-Plus 代表)監修のもと、CUREPROが構成・執筆しています。医学的な情報は公的機関の情報を出典として記載しています。
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤矯正と下半身の構造改善を得意とする。
まず確認したい、坐骨神経痛で見逃せない危険なサイン

坐骨神経痛の多くは、保存的なケアで数か月のうちに和らいでいきますが、なかには早急な対応が必要なものがあります。次のサインに当てはまるときは、セルフケアではなく、ただちに医療機関を受診してください。
| こんなときはただちに受診 | 背景にある可能性 |
|---|---|
| 尿が出にくい、もれる、残尿感がある、便が出しにくい | 神経の重い障害(膀胱直腸障害)の可能性 |
| 股のまわりや肛門周辺の感覚が鈍い、両脚がしびれる | 緊急を要する馬尾(ばび)症候群の可能性 |
| 足首やつま先が上がらない、力が入らず進行している | 神経の麻痺が進んでいる可能性 |
| がんの既往があり、新たに強い腰や脚の痛みが出た | 脊椎への転移などの可能性 |
| 発熱をともなう、原因なく体重が減っている | 感染や全身の病気が関わる可能性 |
とくに、排尿や排便の障害、股のまわりの感覚の鈍さ、両脚のしびれがそろうときは、緊急手術が必要になることもある状態です。椎間板ヘルニアでも、下肢の麻痺や膀胱直腸障害があれば早期の手術が検討されます(参考:済生会)。ためらわず受診してください。
坐骨神経痛とは何か——症状であって、病名ではない

危険なサインがないことを確認できたら、坐骨神経痛の中身を理解しておきましょう。ここを押さえると、対処の考え方がはっきりします。
坐骨神経は、腰からお尻を通り、太ももの裏、ふくらはぎ、足先まで伸びる、人体で最も太く長い神経です。この神経が、走行するどこかで圧迫されたり刺激されたりして起こる痛みやしびれを、まとめて坐骨神経痛と呼びます。つまり坐骨神経痛は、頭痛や腹痛と同じように、原因を問わず症状そのものを指す言葉です。
痛みの出方は人によってさまざまで、お尻から脚にかけて鋭く走る痛み、じんじんとしたしびれ、張るような重だるさとして現れます。特徴的なのは、左右どちらか片側に出ることが多く、両脚が同時に痛むことはまれという点です。「腰から足にかけての片側の痛み」で悩む方の多くが、この坐骨神経痛にあたります。座り続けると強くなる、歩くと増す、特定の姿勢でやわらぐなど、どんなときに変化するかも、原因を探る手がかりになります。
この「症状であって病名ではない」という理解は、対処を考えるうえでとても大切です。頭痛にかぜや緊張などさまざまな原因があるように、坐骨神経痛にも複数の原因があり、それぞれで対応が変わります。同じ坐骨神経痛でも、腰の椎間板が原因の人と、お尻の筋肉が原因の人とでは、してよい姿勢もストレッチも異なります。だからこそ、「坐骨神経痛だから、この体操をすればよい」と一律に考えるのではなく、まず自分の原因を見立てることが、遠回りに見えて近道になるのです。
坐骨神経痛の主な原因

坐骨神経痛を引き起こす原因はいくつかありますが、頻度が高いのは腰の疾患です。代表的なものを見ていきます(参考:済生会)。
腰椎椎間板ヘルニア
背骨のクッションである椎間板の一部が飛び出し、近くを通る神経の根元を圧迫することで起こります。比較的若い世代から中年に多く、前かがみになったり、座ったりすると痛みが強くなる傾向があります。お尻から太ももの裏、ふくらはぎの外側、足先へと痛みやしびれが広がるのが典型的です。重い物を持ち上げた拍子や、中腰の作業を続けたあとに発症することもあります。多くは保存的なケアで数か月のうちに軽快し、飛び出した椎間板が自然に吸収されて痛みが引くこともありますが、麻痺や排尿の障害をともなうときは手術が検討されます。
腰部脊柱管狭窄症
背骨の中で神経が通るトンネルが、加齢による変形で狭くなり、神経を圧迫する状態です。中高年に多く、しばらく歩くと脚の痛みやしびれで歩けなくなり、少し休むとまた歩ける「間欠性跛行」が特徴です。前かがみになるとトンネルに隙間ができて楽になり、腰を反らすと悪化しやすいのも、椎間板ヘルニアとは逆の傾向として覚えておくとよいでしょう。高いところの洗濯物を干すときなど、腰を反らす動作で症状が出やすいため、目の高さで作業する工夫が助けになります。残尿感や尿の出にくさをともなうこともあり、その場合は早めの受診が必要です。
梨状筋症候群(お尻の筋肉が原因のもの)
見落とされやすいのが、お尻にある梨状筋という筋肉が原因のタイプです。坐骨神経は、この梨状筋のすぐそばを通っています。長時間のデスクワークや中腰での作業、激しい運動などで梨状筋が硬くこわばると、坐骨神経を圧迫し、お尻から脚にかけて痛みやしびれが出ます。梨状筋症候群はレントゲンやMRIでは見つけにくいとされ、腰の骨に異常がないのに坐骨神経痛が続くとき、この筋肉の関与が考えられます。ここは、姿勢や筋肉の状態を整えるアプローチが役立ちやすい領域でもあります。
デスクワークで長時間座り続ける方、運転の多い方、硬い椅子に座る習慣がある方は、梨状筋に負担がかかりやすく、このタイプの坐骨神経痛を起こしやすい傾向があります。お尻の奥にある一点を押すと響くように痛む、片側のお尻から脚にかけて症状が出る、座っている時間が長いほどつらくなる、といった特徴があれば、梨状筋のこわばりが関係している可能性を考えます。腰の画像検査で異常が見つからず、原因がはっきりしないと言われた坐骨神経痛のなかには、このタイプが隠れていることが少なくありません。
このほか、糖尿病や帯状疱疹、婦人科の病気などが坐骨神経痛を起こすこともあります。原因によって適切な対応が変わるため、まず医療機関で背景を確かめることが、遠回りに見えて確実な第一歩です。
「腰から足にかけての片側の痛み」を見分ける

自分の坐骨神経痛がどのタイプに近いかは、痛みが変化する場面から、ある程度あたりをつけられます。あくまで目安ですが、整理しておくと受診時にも伝えやすくなります。
前かがみや座った姿勢で痛みが強くなるなら、椎間板ヘルニアの傾向。立って歩くと痛み、前かがみや座ると楽になり、休み休みでないと歩けないなら、脊柱管狭窄症の傾向。お尻の一点を押すと痛みが響き、長時間座っていると悪化するなら、梨状筋症候群の傾向です。もちろん、これらは重なり合うこともあり、自己判断で決めつけるのは禁物です。あくまで、医療機関で正確な診断を受けるための手がかりとして役立ててください。
受診の際は、この「どんなときに痛むか」をメモして伝えると、診断がスムーズに進みます。いつから痛むのか、どこからどこへ痛みやしびれが広がるのか、どの姿勢で強くなり、どの姿勢で楽になるのか、しびれや力の入りにくさはあるか。こうした情報は、医師が原因を絞り込むうえで大きな手がかりになります。痛みは目に見えないぶん、言葉で正確に伝えられるかどうかが、適切な対応にたどり着く速さを左右します。
坐骨神経痛を和らげる、今日からの対処

危険なサインがなく、医療機関で緊急性のある状態ではないと確認できたら、日常でできるケアで痛みをやわらげていきます。「早く楽になりたい」という気持ちほど、正しい順序が大切になります。
痛みが強い時期の過ごし方
痛みが激しい急性期は、無理に動かさず、もっとも楽な姿勢で安静にすることが基本です。あお向けで両膝を立てる、横向きで軽く膝を抱えて丸くなるなど、坐骨神経への引っぱりが減る姿勢を探してみてください。ただし、痛いからと何日も横になり続けると、かえって回復が遅れることもあります。痛みの範囲で少しずつ体を動かすほうがよいとされているため、動けるようになったら、無理のない範囲で日常の動きを取り戻していきましょう。
楽な姿勢が見つけにくいときは、横向きに寝て、両膝のあいだにクッションをはさむと、骨盤のねじれがやわらいで坐骨神経への引っぱりが減ることがあります。長く座るときは、柔らかすぎる椅子や低いソファよりも、骨盤が立ちやすい高さのしっかりした椅子のほうが、お尻への負担が偏りにくくなります。同じ姿勢を続けないことも大切で、座りっぱなしのときは三十分に一度は立ち上がり、少し歩いて姿勢を変えると、神経の圧迫がこもりにくくなります。
落ち着いてからのストレッチ
痛みのピークが過ぎたら、坐骨神経の通り道にかかわる筋肉を、痛みの出ない範囲でやさしくゆるめていきます。お尻の梨状筋を伸ばすには、椅子に座って片方の足首を反対の膝に乗せ、背すじを伸ばしたまま軽く前へ倒れる方法があります。太ももの裏のハムストリングを伸ばすことも、坐骨神経への負担をやわらげる助けになります。いずれも、痛みやしびれが強まる手前で止め、反動をつけないことがコツです。お尻や下半身のケアはお尻のストレッチやお尻の痛みの見方、股関節の痛みの見方も参考になります。
ストレッチは、一度に強くやるより、一日のなかで数回、こまめに行うほうが効果的です。呼吸を止めず、息を吐きながらゆっくり伸ばすと、筋肉がゆるみやすくなります。大切なのは、痛気持ちいいと感じる範囲にとどめること。伸ばして脚にしびれや鋭い痛みが走る場合は、神経を刺激しているサインなので、すぐに中止してください。無理に続けるより、痛みの出ない範囲で毎日続けるほうが、坐骨神経への負担を減らしていくうえで着実です。太ももの裏の張りが気になる方は太ももの裏の痛みの見方も参考になります。
やってはいけないこと
痛むお尻や脚を、強くぐいぐいと揉みほぐすのは避けてください。神経が過敏になっている時期の強い刺激は、かえって痛みを長引かせることがあります。また、脊柱管狭窄症の傾向がある方が腰を大きく反らす動き、椎間板ヘルニアの傾向がある方が深く前かがみになる動きは、それぞれ症状を強めることがあります。自分の痛みがどの姿勢で悪化するかを知り、その動きを避けることが、悪化を防ぐ近道です。しびれや麻痺が進むときは、セルフケアを続けず受診してください。
長引く・繰り返す坐骨神経痛は、腰と骨盤の土台から見直す
腰と骨盤の状態を確認

対処を続けても坐骨神経痛がぶり返す、なかなか引かない。そんなときは、視点を切り替えるタイミングです。坐骨神経痛は、坐骨神経が「どこかで負担を受けている」という結果です。その負担を生んでいるのは、腰の骨だけでなく、骨盤の傾きや股関節の硬さ、お尻の筋肉の緊張、そして日々の姿勢の積み重ねであることが少なくありません。
とくに梨状筋症候群のように、お尻の筋肉の緊張が神経を圧迫しているタイプでは、腰そのものより、骨盤や股関節、お尻の使い方に目を向けることが助けになります。反り腰で骨盤が前に傾いていたり、長時間の座り姿勢でお尻が固まっていたりすると、坐骨神経の通り道に負担が集まり続けます。痛む場所だけをケアしても、その土台が変わらなければ、痛みは戻ってきます。
たとえば、いつも同じ側のお尻から脚が痛むという方の体を確認すると、痛む側だけでなく、骨盤の左右の傾きや、股関節の硬さの左右差が、坐骨神経の通り道に偏った負担を生んでいることがあります。坐骨神経は、腰・骨盤・股関節・お尻という、いくつもの部位のあいだを縫うように走っています。だからこそ、そのどこか一か所のこわばりや傾きが、離れた場所の痛みやしびれとして現れるのです。この「つながりで見る」視点が、繰り返す坐骨神経痛と向き合ううえで欠かせません。
だからこそCUREPROでは、痛むお尻や脚をその場でケアして終わりにせず、骨盤の向きや股関節の動き、お尻や腰まわりの筋肉の状態、そして姿勢まで含めて、体全体のつながりから状態を確認します。負担の集まっている場所と、その負担を生んでいる土台の両方を整えていくことで、坐骨神経への圧迫がやわらぎ、症状が戻りにくい体づくりを目指す。これが、痛む部位そのものではなく、その部位に負担を集めているつながりに目を向ける、構造改善という考え方です。ただし、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が背景にある場合は放置で悪化することもあるため、まず医療機関で診断を受けることが前提です。私たちは診断も治療も行いません。
腰の痛みが気になる方は腰痛の原因と対処、反り腰が気になる方は反り腰の原因と改善、骨盤の傾きには骨盤のゆがみの原因、姿勢から見直したい方は姿勢の見直し方もあわせてご覧ください。
よくある質問

坐骨神経痛は何科に行けばよいですか
腰やお尻、脚の痛み・しびれが中心なら整形外科が入り口になります。レントゲンやMRIで、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの原因を調べてもらえます。排尿や排便の障害、両脚のしびれ、進行する麻痺をともなうときは、緊急性が高いため、ためらわず受診してください。
坐骨神経痛はどのくらいで和らぎますか
原因や程度によりますが、坐骨神経痛が主な症状の場合、数週間から二、三か月ほどの保存的なケアで軽快していくことが多いとされています。ただし、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が背景にある場合は、放置すると悪化することもあります。痛みが強い、しびれが進む、日常生活に支障が続くという場合は、医療機関で相談してください。
坐骨神経痛のとき、マッサージや整体を受けてもよいですか
まず医療機関で原因を確かめ、緊急性のある状態でないことを確認するのが大前提です。そのうえで、梨状筋の緊張や姿勢のクセが関係しているタイプであれば、お尻や骨盤まわりの状態を整えるケアが役立つことがあります。ただし、しびれや麻痺が進んでいるとき、原因がはっきりしないときに、痛む場所を強く刺激するのは避けてください。受けるとしても、症状の経過をみながら慎重に進めることが大切です。
坐骨神経痛は温めたほうがよいですか、冷やしたほうがよいですか
痛めた直後で熱をもってズキズキするような急性期は、無理に温めず安静を優先します。痛みが落ち着いた慢性的な時期は、お尻や腰、脚を温めて血のめぐりを促すと、筋肉の緊張がゆるんで楽になりやすいとされています。入浴で下半身を温めることも助けになります。急性期か慢性期かで対応が変わる点を意識してください。
坐骨神経痛のとき、歩いてもよいですか
痛みの範囲であれば、適度に歩くことはむしろ回復を助けます。ただし、脊柱管狭窄症の傾向がある方は、長く歩くと痛みやしびれが強まることがあるため、休みながら無理のない距離にとどめてください。歩くと悪化するのか、座ると悪化するのかは、原因を見立てる手がかりにもなります。しびれや麻痺が進むときは、歩行より受診を優先してください。
坐骨神経痛がつらいときは、CUREPROにご相談ください
股関節と骨盤への施術

坐骨神経痛のつらさは、その多くが腰や骨盤、お尻の筋肉が坐骨神経に負担を集めた結果として生まれています。危険なサインを見逃さず、まず医療機関で原因を確かめること、急性期と慢性期で対処を切り替えること、そして繰り返す場合は痛む場所だけでなく、腰と骨盤の土台から見直すこと。この三つが、つらさから抜け出す道筋になります。
医療機関で緊急性がないと確認されたのに坐骨神経痛が長引く、お尻や脚のしびれがぶり返す、姿勢のクセから根本的に見直したい。そんなときは、CUREPROにご相談ください。柔道整復師の国家資格を持つ施術者が、痛むお尻や脚だけでなく、骨盤や股関節、お尻の筋肉、姿勢の使い方まで含めて全身のつながりから状態を確認し、一人ひとりの体に合わせて、坐骨神経に負担の集まりにくい体づくりをサポートします。まずはお近くのCUREPROへ、気軽にお問い合わせください。
監修者プロフィール
阿部 純治(あべ じゅんじ)/柔道整復師・株式会社May-Plus 代表取締役。東京・埼玉・千葉で構造改善型の整体院ブランド「CUREPRO」を展開。「人生のパフォーマンスを上げる整体」を掲げ、薬に頼らず本来の力を引き出すことを大切に、痛みの根本にある体全体のつながりへ目を向けたケアを追求している。
出典・参考
- 社会福祉法人 恩賜財団 済生会「坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)とは」 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/sciatic_neuralgia/
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)・株式会社May-Plus代表
2011年に整体院を開業、2013年に株式会社May-Plusを設立。CUREPROブランドで首都圏(埼玉・東京・千葉)に10店舗を展開する代表経営者。日本大学法学部卒業後、中央医療学園専門学校で柔道整復師資格を取得。「保険診療に依存しない構造改善型整体モデル」を推進。