人生のパフォーマンスを上げる整体
コラム
その腰のだるさや姿勢の崩れ、腸腰筋の衰えかもしれません。
上半身と下半身をつなぐ奥の筋肉を、ゆるめて鍛えて整えましょう。
目次
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)・株式会社May-Plus代表
2011年に整体院を開業、2013年に株式会社May-Plusを設立。CUREPROブランドで首都圏(埼玉・東京・千葉)に10店舗を展開する代表経営者。日本大学法学部卒業後、中央医療学園専門学校で柔道整復師資格を取得。
腰痛が続く、姿勢が崩れてきた、最近よくつまずく。こうしたお悩みの背景に、腸腰筋(ちょうようきん)という筋肉の衰えが隠れていることがあります。名前は聞いたことがあっても、体のどこにあって、何をしている筋肉なのかは意外と知られていません。
腸腰筋は、お腹の奥深くにある、上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉です。背骨と太ももの骨を結んでいて、歩く・立つ・座るといった日常動作の土台を支えています。ところがインナーマッスル(深層筋)のため自覚しにくく、気づかないうちに衰えて、腰や姿勢の不調となって表面化します。
この記事では、腸腰筋がどこにあって何をしているのか、衰えるとどんなサインが出るのか、骨盤との関係、そして自分で整えるための鍛え方とストレッチまでを、首都圏10店舗のCUREPRO(キュアプロ)で施術にあたる柔道整復師の視点からお伝えします。腰まわりの筋肉全体を知りたい方は腰の筋肉を整える基本もあわせてご覧ください。

腸腰筋は単独の筋肉ではなく、3つの筋肉をまとめた呼び名です。背骨の腰の部分や骨盤の内側から始まり、股関節の前を通って、太ももの付け根の内側(小転子)に付着します。お腹の表面からは触れにくい、体のいちばん奥にある筋肉です。
腰の背骨(腰椎)から太ももの骨まで伸びる、腸腰筋の主役です。背骨と脚を直接つなぐ数少ない筋肉で、太ももを持ち上げる動きと、背骨を支える働きを兼ねています。階段を上る、脚を前に振り出すといった動作で活躍し、ここが弱るとつまずきやすくなります。
大腰筋の前側にある小さな筋肉で、骨盤を安定させる補助的な役割を担います。ただし、この筋肉は半数ほどの人にしか存在しないとされ、なくても日常生活に支障はありません。腸腰筋を語るうえでは、大腰筋と腸骨筋の2つが中心になります。
骨盤の内側のくぼみ(腸骨)から始まり、大腰筋と合流して太ももの骨に付着します。大腰筋とともに股関節を曲げる働きをし、骨盤の前側の傾きを保つのに関わります。大腰筋と腸骨筋は途中で一体となるため、まとめて腸腰筋と呼ばれるわけです。

腸腰筋は地味な筋肉ですが、担っている仕事は多岐にわたります。主な役割を整理します。
| 役割 | 日常での働き |
|---|---|
| 股関節を曲げる | 脚を持ち上げる・階段を上る・歩く |
| 背骨を支える | 立ち姿勢を保つ・上半身を安定させる |
| 骨盤の傾きを保つ | 骨盤を立てる・反り腰や猫背を防ぐ |
| 体幹を安定させる | バランスを取る・ぶれない動作の土台 |
| 姿勢の連動を担う | 上半身と下半身の動きをつなぐ |
とくに大切なのが、骨盤を正しい位置に保つ働きです。腸腰筋が適度に働いていると骨盤が立ち、背筋が自然に伸びます。逆にここが衰えたり硬くなったりすると、骨盤の傾きが乱れ、腰痛や姿勢崩れの引き金になります。骨盤と姿勢の関係は骨盤の役割と構造もご参考に。

腸腰筋は深い場所にあるため、衰えても「腸腰筋が弱った」とは自覚できません。代わりに、腰や姿勢、歩き方のサインとして現れます。次の項目で確かめてみてください。
| セルフチェック項目 | 該当の有無 |
|---|---|
| ①平らな場所でよくつまずく | □ |
| ②長く立っていると腰がだるくなる | □ |
| ③イスに浅く座って背もたれに寄りかかる癖がある | □ |
| ④ぽっこりお腹が気になる | □ |
| ⑤階段の上りで脚が重い | □ |
| ⑥猫背または反り腰を指摘される | □ |
| ⑦歩幅が狭くなった・歩くのが遅くなった | □ |
| ⑧デスクワークで座っている時間が1日6時間以上 | □ |
| ⑨片足立ちでふらつく | □ |
| ⑩仰向けで寝ると腰が浮いて床につかない | □ |
3つ以上当てはまる方は、腸腰筋の働きが落ちている可能性があります。とくに①のつまずきと⑦の歩幅の狭まりは、大腰筋の筋力低下と関わりが深いサインです。年齢のせいと片づけられがちですが、腸腰筋は何歳からでも整えていける筋肉です。

腸腰筋が衰える最大の原因は、座っている時間の長さです。座った姿勢では股関節が曲がったままで、腸腰筋は縮んだ状態が続きます。この状態が日常化すると、筋肉は縮んだまま硬くなり、いざ使おうとしても十分に働けなくなります。
デスクワーク中心の生活、長時間の運転、運動習慣の不足が重なると、腸腰筋は使われないまま弱っていきます。加えて、加齢によっても筋肉量は落ちやすく、高齢になると腸腰筋の衰えが歩行の不安定さやつまずき、転倒のリスクへとつながります。「硬くなる」と「弱る」が同時に進むのが、この筋肉のやっかいなところです。座り姿勢の負担が気になる方は座ると腰が痛い原因もご参考に。

腸腰筋を整えると姿勢や腰の調子が変わるのは、骨盤との深い関わりがあるからです。タイプ別に整理します。
| 状態 | 腸腰筋の状態 | 起こりやすい不調 |
|---|---|---|
| 腸腰筋が硬く縮む | 骨盤が前に傾く(反り腰傾向) | 反り腰・腰の張り・腰痛 |
| 腸腰筋が弱る | 骨盤が後ろに傾く(猫背傾向) | 猫背・ぽっこりお腹・つまずき |
| 硬さと弱りが同時進行 | 骨盤の動きが乏しくなる | 慢性腰痛・姿勢の崩れ |
ここで知っておきたいのは、腸腰筋の不調は「硬い」か「弱い」かのどちらか一方ではなく、両方が同時に起こりやすいことです。だから腰痛対策では、ストレッチでゆるめることと、筋トレで働きを取り戻すことの両方が必要になります。片方だけでは、なかなか変化が定着しません。反り腰が気になる方は反り腰の原因と治し方、骨盤後傾は骨盤後傾の改善法もご参考に。

まずは縮んで硬くなった腸腰筋をゆるめることから始めます。いずれも痛みのない範囲で、呼吸を止めずに行ってください。
片膝を床について、もう片方の脚を前に出して立てます。前の脚に体重を移しながら、後ろ脚の付け根を前に押し出すように腰を沈めます。後ろ脚の太ももの付け根が伸びる感覚で30秒キープし、左右行います。腸腰筋ストレッチの基本で、反り腰タイプの方にとくに向いています。
仰向けに寝て、片方の膝を両手で抱えて胸に引き寄せます。このとき、伸ばしたままのもう片方の脚は床につけておくのがポイントです。床についた脚側の付け根が伸びます。寝たままできるので、就寝前のケアに向いています。
うつ伏せになり、両手を肩の下について上半身をゆっくり起こします。お腹の奥が伸びる範囲で止め、腰を反らしすぎないよう注意します。腰に痛みが出る場合は無理をせず、肘をついた軽い反らしにとどめてください。

ゆるめたら、次は働きを取り戻すトレーニングです。脚を持ち上げる動きが腸腰筋を使うポイントになります。
椅子に背筋を伸ばして座り、片方の太ももをゆっくり持ち上げて下ろします。反動を使わず、付け根から脚を引き上げる意識で左右10回ずつ。高齢の方やトレーニングが久しぶりの方の入り口に最適で、テレビを見ながらでもできます。
仰向けに寝て両脚をそろえ、伸ばしたまま床から45度ほどまで持ち上げてゆっくり下ろします。腰が反らないよう、お腹に軽く力を入れたまま行うのがコツです。きつい場合は片脚ずつから始めてください。
椅子に浅く座るか床に座り、後ろに少し体を倒しながら両膝を胸に引き寄せます。腸腰筋とお腹を同時に使える動きで、体幹の安定にもつながります。慣れてきたら回数を増やしましょう。
腰痛対策としてインナーマッスル全体を鍛えたい方は、大腰筋に加えて腹横筋・多裂筋まで含めた腰痛改善のためのインナーマッスルの鍛え方もあわせてご覧ください。

| こんなサインがあるとき | 考えられること・対応 |
|---|---|
| 脚のしびれや力の入りにくさを伴う腰痛 | 椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など。整形外科へ |
| 安静にしていても強くなる腰や股関節の痛み | 感染や腫瘍など。整形外科や内科へ |
| 発熱を伴う腰や下腹部の痛み | 腸腰筋膿瘍や内臓疾患など。内科や救急へ |
| 急に立てない・歩けないほどの激痛 | 急性の腰の障害。整形外科へ |
| 排尿・排便のコントロールが難しくなった | 馬尾症候群の恐れ。すぐ救急受診を |
これらに当てはまるときは、腸腰筋のセルフケアより先に、整形外科や内科などの医療機関を受診してください。とくに発熱を伴う腰や下腹部の痛みは、腸腰筋そのものに膿がたまる腸腰筋膿瘍という病気のこともあり、注意が必要です。また排尿・排便のコントロールが難しくなった場合は、緊急性の高い状態の可能性があるため、すぐに受診してください。

| 避けたいこと | 理由 |
|---|---|
| 硬いまま反動をつけて鍛える | 腰を反らせて痛める原因になる |
| 腰痛が強い日に無理にトレーニングする | 炎症を悪化させることがある |
| レッグレイズで腰を反らせる | 腰椎に負担が集中する |
| ストレッチを省いて筋トレだけする | 硬さが残り効果が定着しにくい |
| しびれが出てもケアを続ける | 神経の問題を見逃すおそれがある |

お腹の奥深く、背骨の腰の部分と骨盤の内側から始まり、股関節の前を通って太ももの付け根の内側に付着しています。体の表面からは触れにくい、いちばん深い場所にある筋肉です。
姿勢が安定して腰痛の予防につながる、つまずきにくくなる、歩幅が広がる、ぽっこりお腹が目立ちにくくなる、といった変化が期待できます。上半身と下半身をつなぐ筋肉なので、全身の動きの土台が整います。
骨盤が前に傾いて反り腰になりやすく、腰の張りや痛みが出やすくなります。長時間座る生活で縮んだまま固まることが多いため、ストレッチでゆるめることが大切です。
鍛えられます。椅子に座ってのもも上げなど、負担の少ない運動から始められます。腸腰筋の維持は転倒予防にもつながるため、年齢を重ねた方こそ取り組む価値があります。無理のない範囲で、毎日少しずつ続けてください。
軽い筋肉痛なら、無理のない範囲で軽く動かすと回復が促されます。強い痛みがあるときは休養を優先してください。しびれを伴う場合や、痛みが長引く場合は、筋肉痛以外の原因も考えられるため受診を検討しましょう。

腸腰筋は、大腰筋・小腰筋・腸骨筋をまとめた呼び名で、上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉です。お腹の奥深くにあって、股関節を曲げる、背骨を支える、骨盤の傾きを保つ、体幹を安定させるという、日常動作の土台となる役割を担っています。インナーマッスルのため衰えても自覚しにくく、つまずき、腰のだるさ、猫背や反り腰、ぽっこりお腹、歩幅の狭まりといった形で表面化します。最大の原因は座っている時間の長さで、縮んで硬くなることと、使われずに弱ることが同時に進むのが特徴です。
整えるコツは、ストレッチでゆるめてから筋トレで働きを取り戻すという順番を守ること。ひざ立ちストレッチや太もも抱き寄せでゆるめ、椅子でのもも上げやレッグレイズで鍛えていきます。ただし、しびれを伴う腰痛や発熱を伴う痛みなど、受診サインに当てはまるときは、まず医療機関で確かめてください。ストレッチや筋トレを続けても腰の張りが戻る、反り腰や猫背と腰痛がセットで気になるという方は、腸腰筋だけでなく骨盤や姿勢のつながりまで整える必要があります。そうしたお悩みは、構造から整える整体が力になれる領域です。腰や姿勢のことでお悩みなら、CUREPROにお気軽にご相談ください。整体に初めて行く方へも参考になります。
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)・株式会社May-Plus代表
2011年に整体院を開業、2013年に株式会社May-Plusを設立。CUREPROブランドで首都圏(埼玉・東京・千葉)に10店舗を展開する代表経営者。日本大学法学部卒業後、中央医療学園専門学校で柔道整復師資格を取得。「保険診療に依存しない構造改善型整体モデル」を推進。